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クロスゲームの早慶戦の裏には、両軍の「精度」の変化があった

92回目の対抗戦。慶應は5年ぶりの勝利を逃した(撮影:長尾亜紀)

<関東大学対抗戦A>
慶應義塾大 31-32 早稲田大
(2015年11月23日/東京・秩父宮ラグビー場)


 両者の準備内容の徹底度合いがころころと変わり、接戦を生んだ。

 早大は前半を15-14とリードして折り返すも、FB藤田慶和副将いわく「ミスが多かった」。例えば27分頃、大外へパスした先でタックルを食らい、球を失った。

 ハーフタイムに縦へ直進する意識を再徹底し、後半4分の追加点を導きはした。敵陣の右半分の区画で球を回し、FL宮里侑樹の突破とCTB岡田一平主将のトライを決めたのだ。得点板に「14-22」と、早大の追加点を刻んだ。この日は好守連発だった慶大のFL廣川翔也に、「宮里くんに抜かれたところは、周りと僕とで段差ができた」と組織守備の乱れを認めさせた。が、早大は、以後もパス交換やその根幹の声の掛け合いでの「精度」を欠いた。

 慶大は「力を出させてもらった」と金沢篤ヘッドコーチ。17分は密集戦で、22、29分はセットプレーからの連携で、31-22と勝ち越す。

 快勝ペースか。否。そこから「アタックの統一感がぶれた」とは、29分に点を取ったLO佐藤大樹だ。

 35分、FB藤田副将によれば「4年生が前向き」だった早大に31-29と迫られる。そして続く38分、敵陣ゴール前左でラインアウトを得たが、捕球したFL廣川が「倒され」てモールが組めず。17分の形を目指そうにも、LO佐藤は「チームとしてじゃなく、1人ひとりが勝手に行って…」。早大のCTB岡田主将に絡まれ、だめ押し点を奪えなかった。

 早大のSO横山陽介が逆転ペナルティゴールを決めたのは、5分後のこと。選手の笑顔はわずかだった。
(文:向 風見也)

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