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「A2」の意地。帝京大がパナに快勝! 控え組が成果示して底上げに手応え

パナソニック戦でボールを持って前進する帝京大のLO服部航介(撮影:福島宏治)



 大学選手権6連覇中の帝京大は16日、国内最高峰トップリーグ(TL)で2連覇中のパナソニックに35-24で快勝した(長野・サニアパークD)。80分を21人で戦ったパナソニックに対し、帝京大は後半15分のメンバー総入れ替えなどを通して複数の選手を起用。主力組を引き下げても、一度もリードを許さずにゲームを終えた。

 各大学が合宿を張る長野・上田の菅平高原で、この夏最も注目されるゲームの1つだった。

 帝京大は昨季、日本選手権の1回戦でNECを31-25で制して打倒TL勢を達成(東京・秩父宮ラグビー場)。今季はフォーマットが変わってTL王者との一発勝負となる選手権に向け、日本一を目指している。7月12日には東京・サントリーグラウンドで2011、12年度TL王者のサントリーと練習試合をおこない、31-33と接戦を演じていた。

 かたやパナソニックはHO堀江翔太主将、SH田中史朗副将、PR稲垣啓太、NO8ホラニ龍コリニアシ、WTB山田章仁といった日本代表組やその他主力の外国人選手を欠く陣容だった。ロビー・ディーンズ監督ら複数名のスタッフは、この1週間、15日の日本代表の強化試合に挑んだ世界選抜の指揮やサポートに従事していた(秩父宮・○40―25)。

 かような諸条件が折り重なるなか、帝京大は、序盤から統制の取れた攻防を演じる。実質的な主力組がプレーする前半は、21-7でリードした。

 中盤でラックを連取し、相手の守備網が乱れたスペースへSO松田力也が大きくパス。自陣深くまで押し込まれながら、接点へのしつこいブローと素早い組織整備の連続で失点を防ぐ…。21分に混戦からボールを受けたWTB尾崎晟也がインゴール右中間を駆け抜けて先制(ゴール成功で7-0)。34分にはパスミスからパナソニックのNO8テビタ・ツポウに走られるが(7-7)、37、42分とスコアを返した。

 時折、攻撃を継続する際の接点で反則を犯しはした。それでも、「ブレイクダウン(接点)で社会人さんの一味違った粘りやスキルがあり、戸惑いはあった。自分たちが(接点から)ボールを出したいタイミングで(パナソニックの妨害に)遅らされたり…。でも、単純な1対1の強さでは負けている気はしなかった」とCTB森谷圭介は語る。

「帝京大の強みはディフェンスだという共通認識がある。ファーストタックル、セカンドタックル…。我慢してできたのはよかったと思います」

 21-12で迎えた後半15分以降、帝京大は控え組(部内名称は「A2」)を一気に投入する。そのなかの1人、WTB飯山竜太は「出ていく時の気持ちが、違っていた」。実は7月のサントリー戦では、選手が総入れ替えした後半に逆転負けを喫していたのだ。

 かたやパナソニックも20分からCTB林泰基、WTB北川智規といったレギュラー格が登場する。「相手、結構(攻撃ラインの立ち位置が)浅め!」など、仲間に試合状況を再確認させる具体的な情報を発信。チームの戦術遂行を後押しする。続く24分、モールからHO室井達彦がトライを挙げる。21-19。2点差に迫った。

 しかし、27分である。自陣から攻め上がるパナソニックが落球。その球を拾い上げたのは、帝京大のWTB飯山だった。快足を飛ばし、インゴールへ直進する。追いすがるWTB北川を振り切り、ゴールラインを越えた。ゴールも決まり、スコアは28-19となる。以後も帝京大はシーソーゲームにも慌てず、勝ち切ったのだった。WTB飯山は言う。

「サントリー戦があったからこそ、だと思っています。あの日はA2が悔しい思いをしていたので。きょうも本当は後半から出る予定だったのが15分延びて…。そんななか、A2がどれだけできるか、でした」

 試合後、勝った岩出雅之監督は「ただの練習ゲーム。だからいいところもあるし、肌で感じた悪いところがあれば修正していきたい。貪欲にね」と淡々。前半に披露した我慢の守備にも「きょうはディフェンスしかできなかったのかな。久々、硬い緊張感のあるゲームだったから」と触れるのみだ。もっとも控え組の試合運びには、こう言い残していた。

「底は、上がってきているよね。よくやりましたよ」

 一方、敗れたディーンズ監督は「普段はFW全員に80分間プレーさせることはないと思うんですが、フロントロー以外はほぼ全員がフル出場。明日は身体が痛いと思いますが、いいスタートは切れたと思います」と淡々。学生王者を「予想通り。身体も大きく、よく訓練された素晴らしいチームだった」と称えてもいた。

「(帝京大の好守を受けた場面も)そこは逆にうちの選手たちがよく攻めていましたよ。点は取り切れなかったのですが、攻める姿勢は見せました」

 冬。フルメンバー同士での激突はあるか。
(文:向 風見也)


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