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「コーチ」小林訓也(NTTコム)、慶大FWに職人芸伝える。



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慶大の日吉グラウンドに立つ小林訓也。「現役」ならではのアドバイスが
大学生を伸ばす。(撮影/松本かおり)



 FWバックファイブに現役トップリーガーならではの感覚を伝えている。現代ラグビーを体感している者同士、共有できるものも多いから教えることも、教わりたいことも多い。よきアニキのような存在だ。

 NTTコムのFL小林訓也(こばやし・のりや)がスポットコーチとして、慶應義塾大学の選手たちの指導に(4月から)あたっている。担当はブレイクダウン。今季から同大学ラグビー部の指揮を執る金沢篤ヘッドコーチが以前NTTコムで指導にあたっていた縁で実現した。日体大時代から、「将来は教員、指導者に」と未来図を描いてきた自分自身にとっても貴重な経験。教わる側、教える側、その両方に得るものが多い関係を築けている。

 ボール争奪戦のスペシャリストとして学生たちに伝えているのは、ボールを越えていく意識と動きだ。
「オーバーしようとしてくる相手を、どうめくっていくかが大事です。(これまでやってきていることを見ていると)ボールの上で止まってしまうクセを無くそうと意識づけしています。もちろん、相手に入られる前に(自分たちがポイントに)入るのが基本。そこを追求しつつ、遅れたときの対処法など、判断やプレーの引き出しを増やしてほしいと思っています」
 そう話す小林は、いつも学生たちに問いかけるようにしている。
 練習中に「どうしていまのプレーをした?」と問うこともあれば、試合後に肌感覚を知り、各局面においての判断の理由を尋ねることも。「僕にない考えが出て来ることもあるし、話していると、知らないことが(ミスの)原因になっていると分かることがある。その場合は新しいことを伝えてあげる」と柔軟な姿勢で個々と向き合う。

 NTTコムでも、練習の中で自分の経験を若手に伝える機会も増えてきた30歳。がむしゃらに相手とボールを追い続ける時期を経て、いま、コーチングの世界の入り口に立っている。
「(自分の経験や知識を)どうやって人に伝えればいいのか、それを考えることが自分のためにもなっています。いろんな人がいて、いろんな考えがある。将来進みたい道を考えると、自分にとってもいいチャンス。視野が広がっていくと思います。もちろんプレーヤーに集中する時間はこれまでと同じように大切にしながら、自分自身も引き出しを増やしていきたいですね」

 ヤマハ発動機からNTTコムに移籍して6年目。自分で時間をやりくりできる余裕も出てきた。「1年を通してチーム(慶大)に関わっていきたいと思っています」と覚悟もある。
 活動のフィールドも広げることで、一級のボールハンターがさらに嗅覚を高めそうだ。



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