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女子7人制に特化したNPO法人、「ARUKAS KUMAGAYA」設立!

ARUKAS

「SAKURA、はぐくむ。」がキャッチフレーズ。たくさんのサクラを咲かせたい(撮影:松本かおり)


 誰もの顔が誇らしげだった。真っ青な空、桜満開の立正大学熊谷キャンパスで6日、NPO法人「ARUKAS KUMAGAYA」の設立記者会見がおこなわれた。
 会見には同法人の山口忠利理事長(立正大ラグビー部部長)、大久保和政副理事長(立正大ラグビー部後援会会長、熊谷商工会議所副会頭)、山崎和海理事(立正大学学長)、堀越正己ゼネラルマネージャー(立正大ラグビー部監督)、宮崎善幸ヘッドコーチをはじめとする10人の理事が登壇。熊谷を拠点として、女子7人制日本代表が世界一になるための強化、また世界一のクラブを作っていく活動の開始を発表した。

 事業内容は4つ。女子ラグビー強化、女子ラグビー育成、地域普及促進、指導者養成。なかでもオリンピックでの金メダルを目指すため、強化を最大のターゲットとしている。立正大には女子のラグビー部があり、もとから大学に在籍している選手もいるが、この春、大学に籍を置かない選手も含めて20人の選手がそろった。チーム名は「ARUKAS QUEEN」、このNPO法人が運営するクラブのトップチームだ。
 また、このチームの下部にあたるアカデミーを小・中・高生向けに開講し、プロのコーチが幅広い年代を通じて一貫指導、育成をしていく。トップの選手はさらに磨きをかけ、まだそうではない選手も、代表に選ばれるように育てる。アカデミーは基本的にアスリート塾のようなもので、地域にラグビーを広く普及する活動をする一方で、「世界で勝つ」という思いを子どものうちから意識させていく。

 まずは来年のリオ五輪・女子7人制での金メダルを目標に、日本一の選手を育てて世界一を目指す。宮崎ヘッドコーチは「できると信じています。信じていないといったら、選手にけっとばされます」と笑った。誰もが本気で、この熊谷を世界一のラグビータウンにしようとしている。

 ARUKAS QUEENのキャプテンは女子7人制日本代表の竹内亜弥だ。この春、世田谷レディースから移籍。「グラウンド、ウエート場、指導者など素晴らしい環境がそろっており、地域や大学の心強い支援もあり、決意しました」。きっぱりとした口調だった。

 学長の山崎氏も「平成26年度の事業計画を立てるとき、はっきりと女子ラグビーの強化を掲げ、大学としても全面的にバックアップしていくことにしました」とサポートを約束。
 また、大久保副理事長は地域・企業の代表として、「産学連携を実現させるために、選手が地域の企業に就職することも推進していきます」と話した。

 この春、初めて地元企業選手として、日体大出身の田坂藍が赤城乳業株式会社に就職した。深谷に本社があり、アイスの「ガリガリ君」などでおなじみの企業だ。
 田坂は「4年の夏にお話をいただきました。日本一の環境はもちろん、代表でもお世話になっている宮崎コーチについていけば後悔しないと思い、決めました。会社の皆さんもすごく理解があって、ここで自分が結果を出さなければ」と感謝を口にした。
 この春の新入社員のため、研修が秋まで続く予定。朝4時50分に起きて、コーチに付き合ってもらい1時間のトレーニングをしてから、9時前に出社。仕事後にまた練習というハードな日々を送る。「でも練習は短時間にものすごく集中してやるという感じで、だからよく考えるし、充実しています」。

 アカデミーのヘッドコーチには日本代表の鈴木彩香が就任した。トップチームの選手としても活動する。立正大の大学院を修了し、今年度からは同大学の職員として、NPOの事務局員も務める。この日、午前中にはアカデミーの体験会がグラウンドでおこなわれ、そこでもコーチとして、終始子どもたちだけでなくスタッフをまとめた。女子ラグビーを牽引してきた者として、コーチと選手両方に、経験と熱い思いが生きそうだ。

 ジャージーやチームのエンブレムはオレンジと青を基調としたデザイン(この日の会見ではラグビー部男子のジャージーを着用)。桜のマークも入っているが、すべてが熊谷にちなんでいる。熊谷は記録的に気温が暑く(オレンジ)、晴天率が高い(青)。桜は日本代表のマークでもあるが、それに加えて熊谷市の花でもあり、この地には「熊谷桜」という品種もある。

 ARUKASの「アルカス」は、立正大学ラグビー部のシンボルでもある、ギリシャ神話でのこぐま座。北斗七星にも関係し、北極星に「変わらざる信念」をイメージしてもともと堀越氏が命名したものだが、あとで「こぐま座」のこぐまが、メスであることを知った。また、学生に「監督!これ、逆から読んだら“サクラ”ですよ」と言われ、うってつけだと思った。実際の神話でのつづりは「Arkas」であり「U」はない。「これを見据えてあえて『U』を取ったといえばカッコいいんですけど、実は僕の間違いなんです(笑)」。それでも、みんながこれだと思った。

 3年前、大学ラグビー部の後援会会長である大久保副理事が、堀越氏と宮崎氏から「女子セブンズで世界を目指すチームを、ラグビーのメッカ熊谷で、立正でできないか」と相談を持ちかけられたことからはじまった。ARUKAS QUEENは今年の5月から予定されている国内リーグに参戦する。2019年のラグビーワールドカップ日本開催に向けて、会場招致の意思を表明している熊谷市にとって、今回の設立は大きなアピールにもなるだろう。
(文・松本かおり)


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