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トップとの距離を測る定期戦。 兵庫・報徳学園

定期戦後、記念写真におさまる報徳学園と東福岡の選手たち

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スクラムから攻撃する報徳学園。背中を向けてパスをするのはNO8福西隼杜主将

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定期戦勝利チームに与えられるカップを報徳学園・永井幹生部長から
受け取った東福岡のHO福井翔主将



 年1回の定期戦は21−49だった。

 報徳学園は前半、14−20と追いすがった。しかし、東福岡は強かった。

 敗戦は9月23日。
 六甲の緑の山並みを西に、武庫川の青い流れを東に臨む母校だった。
 監督の西條裕朗は総括する。
「後半、体力差が出ました。相手は大きいし、走るし、層も厚い。もう一歩、追い込まないといけないけれど、できませんでした」

 モスグリーンの東福岡は歴代4位となる全国大会優勝6回を誇る。今年も桐蔭学園、大阪桐蔭などとトップ集団を形成する。
 報徳学園の最高位は77回大会(1997年度)の4強だ。エンジと黒の段柄は、昨年度の97回大会では8強敗退。優勝する東海大仰星に20−50で破れる。
 近年はラグビースクールを中心に勧誘に力を入れるが、未だ頂点には至らない。

 その現状で報徳学園が先制する。
 前半5分、主将のNO8福西隼杜(はやと)が突進。ボールを持つSO森元翔紀をFWが、相手インゴールに押し込んだ。
 4分後、東福岡はSO吉村紘がPGを決めた。7−3。監督の藤田雄一郎は解説する。
「ラグビーはポイントをマネジメントするゲームだと思っています。ウチは部内マッチでもペナルティーは狙います」

 3点をきっちり刻むのは反省からだ。
「センバツで桐蔭学園にトライ数では勝っていたのに、試合には負けました」
 今春の19回大会8強戦は34−40。トライ数は5−4としながら、PGとDGの総数は1−4。勝者は優勝をさらう。

 4点差に詰められ、さらに2回、報徳学園はインゴールを割られる。前半27分には福西がトライを返した。その数は同じ2−2。しかし、前半終了間際にも3点を重ねられる。PG2本分の6点差で折り返す。

 後半16分にはラインアウトのすき間からLO石浦大貴が抜け出す。21−27とついていく。その直後のキックオフボールを東福岡に奪われ、連続して22点を失った。

 課題は残り10分の集中力とフィットネス。ただし、福西は光明も見出す。
「点差を縮めることはできました」
 昨年の定期戦を西條は「20対100くらい」と表現した。5月のサニックス・ワールドユースでは14−70。それが28点差になる。
 要因のひとつはニュージーランド遠征だ。3年に1度の恒例行事で、7月末から2週間弱、最大都市のオークランドに滞在した。コンタクトの強い外国人との試合や最先端のコーチングが身になっている。

 この試合に出場した報徳学園の高校日本代表候補は福西とSH丸尾祐資。HO大賀宗志はケガ、セブンズユース日本代表のCTB山田響は合宿参加のため欠場した。

 一方、東福岡はこれまで2回あった高校日本代表候補合宿に召集された7人中6人、2年生のU17日本代表は4人全員が先発した。
 1年生はWTB坂本公平がただ1人のスタメン。そのスピードで前半17分、右タッチ際を約30メートル駆け上がる。
 しなやかな走りは、OBの藤田慶和(パナソニック)と重なる。指揮官は日本代表キャップ31を持つ25歳との比較を問われる。
「1年の時の力は変わりません」
 代表入り最年少記録(18歳7か月)更新の期待が芽生える。

 例年同様、個々の能力が高い東福岡に、報徳学園はまとまりを軸に真っ向勝負する。
 藤田は力を認める。
「全国大会でもベストエイト以上の力はあるでしょう」
 この8月にあった国体予選では、ほぼ報徳学園で構成された兵庫選抜が19−17で京都選抜を下し、5年ぶりに本大会に進んだ。
 国体の結果も絡むが、全国大会に出場すれば、Bシードに推される可能性は高い。
 藤田は続ける。
「報徳はあと2か月すれば違ってくる。ウチも違ってきます」
 全国舞台で戦うための正念場を見据えた。

 この日の定期戦には、両チームの出身者がいる同志社大の監督・萩井好次があいさつを兼ねて視察に訪れた。
 東福岡OBである有田隆平もキックオフの午前10時に姿を見せる。神戸製鋼のHOは前日のトヨタ自動車戦にフル出場。それでも、試合後にはFWにランプレーを教えた。
「あまり見に行けないんで」
 日本代表キャップ9を持つ29歳は笑う。
 人々を呼び寄せる一戦になる。

 東福岡は前日午後、博多から新幹線で新神戸に着いた。その後、1泊のホームステイ。報徳学園の選手たちの家庭に引き取られる。
 コーチの泉光太郎はニヤリとする。
「ヒガシと試合をしてもらうことももちろん大切ですが、こういうことでラグビーをする仲間を増やしてほしいんです」

 実り多い定期戦のスタート時期はわからない。43歳の泉は話す。
「僕が高校生のころからありました」
 OBコーチの山北靖彦は振り返る。
「昔は城北ともやってたけどね」
 城北は東京の私立校。
 山北は58歳。元SOは法政大から神戸製鋼に入社。全国社会人大会(トップリーグの前身)、日本選手権の7連覇に貢献した。

 報徳学園にとって、今は唯一となる定期戦。ラグビー部部長の永井幹生は言う。
「カップを作ってやっているのはこれだけです」
 未踏の全国制覇への距離が知れる上に、一宿一飯による友情も生まれる。
 未来につなげる大切な試合である。
(文:鎮 勝也)

●報徳学園先発メンバー
 1里見聡次郎A
 2説拓海A
 3西崎海人@
 4山本凌士A
 5伏見拓翔B
 6小山健太B
 7大山卓真A
〇8福西隼杜B★
 9丸尾祐資B★
 10森元翔紀B
 11波田怜央A
 12竹之内堅人@
 13宮嵜隼人B
 14下村寛太A
 15上田和磨@

●東福岡先発メンバー
 1木原優作B★
〇2福井翔B★
 3川崎太雅A◆
 4吉永昂生B
 5森山雄太A
 6井上風雅A
 7小島雅登B★
 8西濱悠太A◆
 9友池瞭汰B★
 10吉村紘B★
 11高本とむA◆
 12廣瀬雄也A◆
 13原口虎太郎B★
 14坂本公平@
 15古里樹希B

※〇は主将。丸囲み数字は学年。★は高校日本代表候補。◆はU17日本代表。






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