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マミタスとナノタス。関西学院高等部68年目で初の女子マネジャー誕生。

 関西学院高等部には今年4月、初の女子マネジャーが2人誕生しました。
 1年生の松本真美さんと細田菜乃子さんです。

 1948年(昭和23)の創部以来、68年目のできごとです。高等部はこれまで男子校でしたが、2012年に中学部を共学化したため、その一期生が入学してきました。
 部員たちは親しみを込め、名前をもじったニックネームで呼んでいます。松本さんは「マミタス」、細田さんは「ナノタス」です。2人とも可愛いらしさ満点です。
 監督で体育教員でもある安藤昌宏先生はベタほめします。
「2人ともしっかりしているし、とてもよくやってくれています。どこに出しても恥ずかしくないですね」

 松本さんは中学部で、テニスと美術を兼部していました。高等部に入学後、部活に対して『自分でやるのはもういいかな。今度はお世話をしてみたいな』と考えます。中学生の時にお父さんと見た花園の高校ラグビーの思い出もありました。そこで、中3のクラスメイトだったラグビー部の齊藤遼太君と東田涼君に相談。「行ってみるだけ、行ってみたら」と言われます。
 松本さんは安藤先生に会ってもらいました。そうしたらすぐにOKがでました。
 報告を受けた2人はびっくり。
「はっ。本当に許可されたんや」

 実は安藤先生は女子マネの入部に消極的でした。2年生の小泉輝君が仕事をしっかりとこなしていたからです。
「でもね、『私は父とラグビーを見に行って、好きになりました。お願いします』なんて言われると断りきれなくて」
 その後、ほかの先生たちから「女子を入れない、って言っていたのに、なーんや」とからかわれます。
 まあでもプリティーなマミタスに詰め寄られたら拒否はできませんよね。

 神戸市立御影中学出身の細田さんは、お家でお母さんがエレクトーン教室をしています。その関係で2歳から弾き続けています。
「これまでエレクトーンしかしてこなかったので、家族とも話し合って、『高校に入ったら新しいことに挑戦してみる』ということになりました。色々な部活動を見たのですが、ラグビーはスピーディーでみんながよく声を出していました。それがよかったです」
 エレクトーンの腕前はプロ級。ヤマハが開催するエレクトーンフェスティバル2015兵庫地区の一般ソロ演奏部門で1位の金賞に輝きました。全国大会にあたるコンクールには一次予選が免除。二次予選から出場します。

 体育系のラグビーは文化系の細田さんにとっては異文化。これまでとは180度違います。屋内から屋外、個人から団体。世界が広がった中で、受ける刺激が鍵盤をたたくのにプラスに働いているに違いありません。
「みんなと一緒にいられることがすごく楽しいです。夏に合宿(菅平)に行ったのも初めてだったし、たくさんの人たちとご飯を食べたのも初めてでした。試合に勝ったらうれしいし、負けたら少しだけ気を遣います」
 演奏会などがある土、日は安藤先生がお休みを認めます。それでも、細田さんは半日でもクラブに顔を出すようにしています。

 ラグビー部1年目の2人の主な仕事は練習中の『水運び』です。飲料水の入ったペットボトルを部員の元へ届けます。熱中症などを予防する大切な役目です。松本さんは目を丸くします。
「みんなすごいいっぱい飲みます。とりあえず、水、水、水です。(ペットボトルケースの)重さはテニスをやっていたので大丈夫ですが、夏はすごかった。水道からグラウンドまで、行って帰って、行って帰っての繰り返しでした。1日が水で終わりました」
 54人の部員が飲む量は半端ではありません。水汲みだけでも大変な労力を使います。
「水を持っていった時に、『ありがとう』と言われたら、小さい幸せを感じます」
 しんどさをよろこびに変えています。

 2人がラグビー部に籍を置き、半年が過ぎました。松本さんは個人的な目標を言います。
「今は事務的なことを全部、小泉さんに頼ってばかりなので、なにか1つでも自分でできるものを増やしていきたいです」
 細田さんはチーム目標を口にします。
「日本一です」
 演奏の力も国内トップレベルにあるため、頂点を現実的に捉えられるのでしょう。

 ラグビー部員のよさを聞かれた松本さんは笑顔を浮かべました。
「優しくて、細かいことに気付く人が多いです。重たい荷物があったら、同級生でも先輩でもすーっと来てくれ、持ってくれます」
 大切に接してくれる同世代に感謝することを忘れません。
 いつも一緒にいる2人は、高等部の4年ぶり5回目の花園出場に向け、今日も力を合わせてがんばっています。
(文・鎮 勝也)


【写真】関西学院高等部初の女子マネジャー、ナノタスこと細田菜乃子さん(左)とマミタスこと松本真美さん
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