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コロッケ作りに命をかける。つるの家・鶴丸秀一郎さん

 はぁーるばるー来たぜ、はーこだてー♪
 違います。博多。は・か・た。サブちゃん、ごめんなさい。
 ちゅーわけで、九州ラグビーのメッカ、福岡に遠征してきたで。
 まいど。浪速のおっさんです。
 この街はうまいもんが多い。兄貴分のヒロシちゃん先輩に聞いてみた。
「九州電力の本社ビルの裏にある店に行かんね。高校と大学の後輩がやっとるとよ」
 先輩は地元の高校を出て、アカクロ着てラグビーやってはった。

 福岡市営地下鉄の七隈線の『渡辺通駅』から歩いて3分くらいやね。ありましたで。
 『旬鮮 つるの家』
 格子戸を開いて、「ごめん」と海原なんとかさんを気取って入ってみる。店内は茶色で統一されて落ち着くなあ。
「いらっしゃい」
 ぱっちりおめめ、相撲取りのようにガタイのいいオーナーシェフ、鶴丸秀一郎はんがにっこりして迎えてくれはった。
「ここはフレンチ?」。なんでやねん!
「居酒屋にしとって下さい」

 鶴丸はんのラグビー歴は修猷館から早稲田やね。大学4年の1993年には国立競技場での早明戦にもFLでではった。お客は60000やで。こっちには同期のWTB増保輝則はん、むこうにはCTB元木由記雄はんらジャパンの顔になる選手がおった。
「なんで飲食の道に?」
「まあ、大学を留年して、手に職をつけた方がいいかなあ、と思ったので」
 なるへそ。そういうことか。

 ヒロシちゃん先輩が「行ったら絶対に食え」とおっしゃった、『コロッケ』(680円)をたのんでみる。湯気の立った、黄金色に光ったのが2つ、お皿に盛られてきた。サイドにはポテトサラダなんかがついてる。
 口に運ぶと、豚ミンチの濃厚な肉汁がほくほくしたじゃがいもとマッチ。たまねぎの甘さもそこに交わっとる。
「こげんうまかコロッケ、しりまっしぇん」
 あかん、つい博多弁になってしもた。

 ヒロシちゃん先輩の後輩に対する面倒見の良さはジャパン級。鶴丸はんのお店もきっちり宣伝したってはる。
「早稲田の会報に、ウチのことを書いて下さったんですけど、その内容のほとんどがコロッケ。ありがたかったけど、思わず<ウチはコロッケ屋か!>と叫んでしまいました」
 鶴丸はんはニコニコ話す。
「ほー、ほしたらここの看板メニューはなんですのん?」
「コロッケです」
 どないやねん!すごい、料理の腕だけやないでー。ボケのセンスもある。さすがや。

「実は隠し味があるんですよ。この醤油を入れてるんです」
 厨房の奥から持って来たのは黒いペットボトル。なになに、『フジマサ醤油 本醸造』と書いてある。
「これを入れると、味が各段に引き立ちます」
 なんと、洋食に日本の心、SOY SAUCEを加えるんかい!どうりで100個でも200個でも食える、と感じたはずや。尖ってない、まろやかな味やから合うんやろね。
 その時、製造元の『冨士正醤油』の藤(とう)浩太郎はんが入店や。マジやで。どんなタイミングや。べっぴんな奥さんと可愛いお嬢ちゃん2人の計4人で夕食や。
 福岡高出身の藤はんと鶴丸はんは早稲田の同期。HOの藤はんが主将やね。早明戦にももちろん出はった。今は家業をついではる。

 修猷館と福岡はラグビーも県下トップの勉強もライバルの県立高校や1925年(大正14)4月17日に始まった定期戦は90年続いとる。お互い高校時代はキャプテンでガンガンやり合ったけど、大学では一致団結や。ほんでその関係は消費者と製造者というのも加わって、未だに続いとる。どやさ?美しいなあ。
 藤はんもおもろい。友人が顔を出したら、「コンパ中や。邪魔せんで」。1対3かい!この2人、ユーモアのセンスも似てるで。

 お店は10年間、赤坂にあったんやけど、今年の7月7日にここに移転した。開店2日前の5日には、プレオープンで早稲田元監督の豊山京一はんの還暦祝いをやった。席数28がいっぱいになるくらいの人が集まった。
「料理人の修行をした8年ほどはラグビーとの関係を断っていました。でも仲間は開店をどこかで聞いて、みんな来てくれた。今でもそう。ラグビーには感謝しかありません」

 焼酎は東京、大阪では入手が難しい『三岳』(500円)が置いてある。その日の刺身盛り(1人前1200円)なんかもピチピチや。
 ジャパンが南アフリカから金星挙げたし、また仲間がいっぱい集まるんやろな。博多に行って、美味い酒と肴、そしてラグビー談議をしたかったら、ここしかないで。

【店名】旬鮮 つるの家
【住所】福岡市渡辺通2−9−13
【電話】092−724−3747
【営業時間】17時30分〜23時30分
【定休日】日曜
(文:鎮 勝也)

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(写真:旬鮮・つるの家店主の鶴丸秀一郎さんと名物のコロッケ)
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