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流大の機転。日本代表、イタリア撃破を呼んだチームカルチャー。

写真中央がSH流大。サンウルブズでは共同主将を務めている。
(撮影/松本かおり)



 34-17。
 6月9日、日本代表はイタリア代表にダブルスコアで勝った。先制を許したものの、すぐに追いつき、前半を17-14とリード。後半に入って一時は追いつかれるも、慌てることはなかった。
 SH流大(ながれ・ゆたか)らの投入を機にテンポをはやめ、ふたたび先を走る。ラスト20分で引き離した。

 2014年、イタリア代表から史上初勝利を挙げたときのスコアは26-23。そのときの内容と比べるとどうか。
 自らトライも挙げたWTB福岡堅樹は、地力がアップしたからこその快勝と話した。
「あのときより、自分たちがやりたいことをやれて勝てました」
 リーチ マイケル主将は「試合が始まる前に勝てると思った」と言った。
「最高の準備ができていたからです。今朝の朝食のとき、(ハーフ団のリザーブの)流(大)と(松田)力也が話していました。4点ビハインドだったら、アタックか地域(をとる)かとか、そういったことを想定して話していました」
 試合終盤を任される選手たちの意識の高さに、キャプテンは勝利を確信した。

 当日朝、ベンチスタートの選手を集めたのは、この日背番号21のジャージーを着る予定になっていた流だった。
 自分たちが投入されたときの役割、ゲームプラン、点差による戦略の違いの確認のほか、先発メンバーがいいスタートを切れるように、試合前のウォーミングアップの強度を高め、盛り上げていこうと伝えた。
「サンウルブズのときは、もともと(リザーブ組のミーティングが)スケジュールに入っていたのですが、今回は(予定に)なかったので、チームミーティングのあとにみんなを集めました」
 事前の相手分析を受け、ロースコアゲーム、接戦になると予測した。
 相手は後半20分からの失点が多い。リザーブ選手のパフォーマンスが重要と流は考えた。

 試合前の1週間、チーム内では「ジャパンスマート」という言葉がよく聞かれた。相手に左右されることなく、自分たちのやるべきことを遂行しよう。注力を促すための言葉だ。
「相手は疲れたら膝に手を置く。大袈裟に痛がって、時間をかせぐこともある。そういうことに付き合わず、コミュニケーションを取って、自分たちのテンポでプレーし続けよう、と」
 流は9番のジャージーを着たい気持ちはいつだってあるが、リザーブスタートと決まったなら、「求められる役割を果たすのみ」と言った。
「ゲームを勝って終わらせるのは、途中出場の選手にしかできないこと」
 任された持ち場で全力を尽くす。個々がそのマインドを持ってこそ本物のチームだ。
 昨秋から、チームカルチャーが感じられる集団になりつつある。

 流は、サンウルブズで積み重ねてきたものもあるから、試合中も、余裕を持って判断できていると言った。
「戦術の共有もできています。ひと言、ふた言でシャープなコミュニケーションが取れるのも、長く一緒にやって来たからこそだと思います」
 チームとしての成熟と、テストマッチを戦う者としてのプライド。それらが重なってイタリアとの第1テストは充実の80分を過ごせた。

 第2テストは6月16日。
 いくつかあった大分での修正点を直し、神戸での80分をもっと熱く、スマートに戦う。

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