W杯

オールブラックスが千葉・柏にやって来る。事前キャンプ地決定報告会開催。

柏の葉小学校で子どもたちと給食を食べるジョン・カーワン卿


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プロジェクトを成功させて柏をラグビータウンにしたい


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ジョン・カーワン卿は、日本語と英語の両方を使って子どもたちと触れ合った


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柏の葉キャンパス駅の改札前は、こんな感じ



 ワールドカップがやって来るって、こういうことだ。
 地元高校の吹奏楽部が『God Defend New Zealand』(ニュージーランド国歌)を演奏し、女子生徒がマオリの歌『Pokarekare Ana』を披露する。
 柏の葉キャンパス駅前には、2019年に漆黒のジャージーを着た男たちがやって来ることを知らせる幕が貼られていた。
 オールブラックスが大会前の事前キャンプをおこなうとなった途端、千葉県の地方都市の名が世界に発信される。そこは、2大会連続で優勝中の王者が3連覇へ向けて牙を研ぐ地と、多くの人々に知られることになる。

 5月31日、千葉県柏市でオールブラックスのワールドカップ事前キャンプ地決定報告とプロモーション活動に関する発表会がおこなわれた。
 会では、今回のパートナーシップの内容が詳しく紹介された。世界一の人気チームの誘致がゴールなのではなく、柏市がチームを『サポート』するだけにとどまらず、『ドリーム』、『レガシー』という視点から、地域の活性化にもつなげられる予定だ。

 キャンプ期間は2019年9月10日から14日の5日間。柏の葉公園総合競技場、柏の葉小学校プール、同体育館でトレーニングをおこなう。
 宿泊先は、柏市ラグビーキャンプ地誘致委員会のメンバーでもある三井不動産株式会社が提供する(三井ガーデンホテル柏の葉)。万全のサポートだ。

 キャンプの間、チームは交流イベントや子ども向けラグビー教室を実施して市民に夢(ドリーム)を与え、講演会や指導者向けコーチングクリニックで地域にレガシーを残す。
 出席したスティーブン・ペイトン駐日ニュージーランド大使が「(キャンプ期間中)私たちの文化を見せたいと思っています。柏の文化を見せてください」と言えば、NZラグビー協会のスティーブ・チューCEOは、「日本のファンにとって、2番目(ジャパンの次)に応援されるチームになりたい」と話した。

 同チームが柏を選んだのは、第一に移動のストレスがないからだ。宿舎とトレーニング施設が至近距離で、チームのスケジュール消化に支障をきたすことはない。スティーブ・ハンセン監督が指導力を100パーセント発揮できる環境が選ばれた。
 9月の同地は暑い。しかし、それも織り込み済みだ。
 かつてお隣の我孫子市をホームとするNECに在籍し、今回のパートナーシップ締結実現のキーマンとなったジョン・カーワン卿(Sir John Kirwan)は、「気温のことはチームのハイパフォーマンス部門とも話し合い、涼しいところより、実際の試合に近い条件のところでやる方がいいだろう、となった。特に、試合の残り15分〜20分の時間帯に(成果が)生きると思う」と言った。

 そのカーワン卿は、自身が初めてオールブラックスに選ばれたときのことを例に出して、今回の誘致はゴールなのではなくスタート。これからいろんなことが起こる、と話した。
 初めてNZ代表となったのは19歳の時だった。鳴り物入りで代表入りした大型WTBは、チームに加わったときに先輩に言われた。
「お前は誰だ。我々はお前を選んでいない。今度の土曜日(のテストマッチ)に負けたらお前のせい。もし負けたら、翌日の朝、鏡の前に行って自分を見つめろ。そのとき、自分はいいプレーをしたと思えたら、また俺に話しかけていい。何人もの選手たちが、この偉大なジャージーを着たい。だから、次の人に渡すときには、もっと輝かせていないといけないんだ」

 そのときカーワン卿は、王国でブラックジャージーに袖を通すことの本当の意味、重みに気づいた。
「私はオールブラックスに選ばれたことで、達成した気持ちになっていた。そうではなかった。それはスタート。毎週(チームと自分を)より良くしていかなければいけない位置に立っただけでした。先週の土曜は、もう過去の話。毎週勝てるように、常により良くしていくことが大切なのです」
 いまが、柏がラグビータウンへと熱を帯びていく日へのスタート。偉大なウインガーは、そう言いたかった。

 記者会見を終えたカーワン卿は柏の葉小学校を訪れ、子どもたちと給食を食べ、触れ合った。以前、我孫子に住んでいたことを伝えると、教室が大きく沸いた。
 報道陣に現在の日本代表について問われると、「私が監督(2007年と2011年のワールドカップ)をしていた頃と比べると、スーパーラグビーにも参戦し、ハイパフォーマンスの環境が整っている。ジェイミー・ジョセフ、トニー・ブラウンというコーチ陣も素晴らしい。目指すスタイルを発揮できれば勝ち進むことができると思う」と話した。
 報道陣の日本語の質問も、ほとんど理解していた。
 柏市は、最強の実力者を味方につけて、本当に良かった。

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