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社長自ら「工場跡地にスタジアム」。地域密着の日野レッドドルフィンズ、新たな一歩。

左から主将・村田毅、日野市長・大坪冬彦、監督・細谷直、代表取締役社長・下義生、副将・染山茂範(撮影:BBM)

 昨季の入替戦勝利によって国内最高峰のトップリーグ(TL)に初昇格した日野自動車が、今季から企業名を外して日野レッドドルフィンズに名称を変える。

 5月9日に東京・日野市役所でおこなわれた記者会見では、チームを率いる細谷直監督のみならず下(しも)義生・代表取締役社長も出席。会社と地域との連携を示すため、大坪冬彦・日野市長もマイクを取った。
 
 下社長は「レッドドルフィンズを会社と地域の相互交流の場になれば。地域に密着した新たな企業スポーツを目指していきたい」と意気込み、新スタジアム建設のプランも打ち出した。

 チームはNECや明大で指導経験のある細谷監督を2014年に招き、2016年以降は元日本代表の佐々木隆道らTLでの経験豊富なプロ選手を相次ぎ獲得。定時まで働く社員選手との融合を進め、下社長が「当初の計画より早い」というTL昇格を決めた。

 市役所にはクラブのロゴが入った張り紙や旗が並ぶなか、「先頭に立って応援団を結成します」とは大坪市長。設立した1942年から市内の雇用を創出してきた日野自動車の持つラグビー部を、従来以上に熱く支援する。

 トップリーグの応援ツアーに多くの市民を募ったり、市内の飲食店でのコラボレーションメニューを企画したりして、レッドドルフィンズを我が町のクラブに昇華させたいという。チーム側も子ども向けのラグビー教室の実施などを通し、地域住民との接点を作る。

 会見のあった会議室が記者やテレビカメラでごった返すのを見て、細谷監督は「TLに昇格したということがひしひしと伝わってくる。少し緊張もしております」。目標は8強以上だとし、以後の外国人選手の補強予定なども示唆した。

 元日本代表でNECから移籍2年目の村田毅を主将に任命するなど、現場が「プロ選手と社員選手の融合」を推進する傍ら、バックヤードもクラブのブランド力向上に力を注ぐ。
 
 折しも、主力の日野工場が茨城県古河市へ移転。2019年のワールドカップ日本大会以降も「(ラグビー部保有への)熱意が冷めるということは全くございません」とする下社長は、市内にある工場跡地に有料スタジアムを建てる計画があると明かした。
 
 残された工場も今後場所を移す予定であること、跡地の土壌調査に時間を要することから「いつとは申し上げられない」とする下社長だが、「一度、TLに上がったらずっといてくれると思っています。できれば自分たちのスタジアムをホームグラウンドにして試合をしたい」と展望。「構想では、地域の方にもご利用いただけるようなスタジアムにしたい」とした。

 日野自動車のスタジアム建設計画はかねて水面下で議論されてきたが、下社長が公の場で話したのはこの日が初めてと見られる。

 プロ選手が社員選手の力を引き出すことで、地域に根付くクラブを強くする。そんな日野レッドドルフィンズの挑戦が、いよいよ本格化する。(向 風見也)

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