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頼れる主将は「上位校といい経験を」。日体大が早大撃破に笑わないわけ。


日体大の中野剛通キャプテン。写真は東日本大学セブンズから(撮影:松本かおり)

 ノーサイドの瞬間、敗者はもちろん勝者も笑顔を浮かべなかった。

 前年の関東大学ラグビー対抗戦A、リーグ戦1部の中位陣が集う関東大学春季大会Bグループが4月22日、開幕。東京・早大上井草グラウンドで対抗戦6位だった日体大が、同4位の早大を32−22で破る。

 今季創部100周年の早大は、2014年度は下部でプレーするなど低迷する日体大に20年ぶりの公式戦黒星を喫した。敗れた相良南海夫新監督は落胆する。

「うちは、まったく覇気が…。なんでなんだろうか…。原因は、不明です」

 かたや日体大は貴重な成功体験を積んだ格好だが、FBの中野剛通主将は落ち着いていた。相手が齋藤直人ら主力数名をカテゴリー別代表の遠征や怪我などで欠いていたのを踏まえ、こう話すのだ。

「(勝って)嬉しいんですけど、早大には本メンバー(の数名)がいない。それと、本番は秋(対抗戦)なので」

 日体大は前半3分、CTBの石田大河のハーフ線付近からのラインブレイクで敵陣深い位置へ侵入。接点からテンポよく球を出し、右タッチライン際に立つWTBの高橋拓行のトライなどで7−0と先制した。

 その後も空中戦の競り合い、肉弾戦で日体大の献身が光った。攻めては12番の石田(記録上は13番)、15番の中野主将が好ランを連発する。中野主将は前半ロスタイム44分にペナルティゴールも決め、20−15とリードしてハーフタイムを迎えた。

 早大も時折、防御のギャップをえぐるなどして応戦。後半14分には20−22とスコアをひっくり返したが、反撃はそれまでだった。

 23分に再逆転を決めた日体大は、試合終盤、必死の守りで耐える。突然の故障者が出て人数が少ないなか、防御ラインの凸凹を作らぬよう意識。普段から数的不利の状況下での守備練習をしてきたとあって、早大を何度も跳ね返す。

 38分、攻守逆転から石田が大きくラン。サポートへついた中野がだめを押した。

「全体的に、相手に元気があったんじゃないですかね。観客に聞こえる声の量も、向こうの方が大きかったと思いますし。プレーの質が云々という以前のところで負けたんじゃないでしょうか」

 こう語るのは、早大のFBに入った岸岡智樹だ。新体制下での練習の雰囲気は悪くなかったというが、いざゲームに入れば指揮官が言うように自分たちの「覇気」の欠如に首を傾げた。

「(ハーフタイムには)抑えるポイントを確認して、後半の最初はエリア(獲得)を中心にしてうまくいったんですけど、きつくなるほど声もなくなり、元気もなくなるという負の連鎖がありました」

 日本一を争う大学選手権への対抗戦からの出場枠は、今年度の「4」から「5」に広がる。留学生の受け入れなどで戦力を拡大する日体大は、自ずと2008年度以来の同選手権出場を目指す。勝っても喜ばなかったのは、ベストメンバーを揃えた選手権常連校との戦いはよりハードだと感じているからだろう。

 もっとも、成長も感じられたのも確かだった。中野主将は振り返る。

「今年は、2連続2馬力を意識しています。1人が2人分の動きを…と。ミスは多かったのですけど、ディフェンスで我慢はできた。春はいい経験を積める時期。これからも上位校とぶつかるなか、自分たちの力を試していきたいです」

 春季大会Bグループにあって、早大は5月13日に中大と(早大グラウンド)、日体大は6日に日大とそれぞれぶつかる(東京・日大グラウンド)。
(文:向 風見也)

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