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イングランド、ウエールズ倒し2連勝。ロースコア試合を強固な防御で制す。

イングランドWTBジョニー・メイの先制トライ。(写真/Getty Images)



 小雨がパラつき、強い風が吹く真冬のトゥイッケナムで行われたイングランド×ウエールズ。伝統の一戦はロースコアの試合の末、12−6でホームチームに軍配が上がった。

 悪天候下のテストマッチとあって、試合を通して両軍ともにキックでの攻撃が多いゲーム展開。こうした試合では、ディフェンスの安定感とペナルティーを抑える試合運びが勝負を決める。
 勝者は、前週スコットランドを相手に4トライを挙げたウエールズをノートライに抑える堅いディフェンスを見せた。また、数少ないトライチャンスをきっちりとものにする。試合巧者ぶりが光った。

 試合が動いたのは開始2分だった。
 小雨の中、ハイパントの処理に手こずるウエールズがこぼしたボールを拾ったイングランド。オーウェン・ファレル(CTB)は、間髪入れずにハーフウェーライン付近からウエールズ陣ゴール手前に絶妙のグラバーキックを蹴った。
 無人のスペースに転がるボールに驚異的なスピードで追いついたのはWTBジョニー・メイ。先制トライを奪った。

 この日のウエールズは、FBのリー・ハーフペニーを欠いていた。試合前日の練習前に体調を崩し、当日になって代役のガレス・アンスコムのスタメン出場が決まった。
 SOにも怪我人が続出しており、24歳で6キャップという若手のリース・パッチェルがスタメン出場。試合数日前の記者会見では、イングランドのエディー・ジョーンズ監督が「経験の浅いSOパッチェルには、徹底的にプレッシャーをかけていく」と公言し、話題にもなった。
 試合後の会見でウエールズのウォーレン・ガトランド監督は、パッチェルのパフォーマンスについて「今日の試合から色々な事を学んだはずだ」。まだまだ発展途上だ。

 前半は、お互いに相手FBを試すかのようなハイパント合戦を続けた。
 イングランドは19分、ウエールズ陣へ侵入する。25フェーズに渡り我慢強くボールをキープした後、ファレルがライン際のジョー・ローンチベリーへロングパス。それを受けた背番号4はタックルを受けながら絶妙のオフロードパスをメイに通してトライを奪い、12-0とリードを広げた。
 24分にはイングランドのインゴールで微妙なシーンがあった。
 イングランドのWTBアンソニー・ワトソンと、ウエールズのFBアンスコムが競った状態でボールをグラウンディング。客観的に見てどちらとも取れるような難しいビデオ判定の結果はノートライとなった。
 ロースコアゲームの微妙な判定とあり、ガットランド監督は試合後の会見で明らかに不満を露わにし、ウエールズの速報メディアもこの「誤審」を大きく取り上げた。

 その後、ウエールズがペナルティーゴールを決め、12−3とイングランドリードで前半を終えた。
 そして、後半もキック中心の展開は続いた。
 76分にペナルティーゴールを追加したウエールズは試合終了前に12−6と差を7点に詰めた。しかし、結局両チーム合わせた後半の得点はこの3点のみ。スコアはそのままで試合終了となった。
 悪天候下、真冬のロンドンでの勝負は、小さな差が勝敗を分けた。

 難敵ウエールズを僅差で下したイングランドのジョーンズ監督は、難しい試合での選手のパフォーマンスに合格点を与えた。
「特にディフェンスは素晴らしい出来だった。(この日マン・オブ・ザ・マッチを獲得したFBの)マイク・ブラウンはキック処理も安定し、まさに代表のFBのパフォーマンス」
 安定したパフォーマンスを見せ続けた背番号15をそう称えると、微妙な判定の結果、ウエールズのノートライとなったプレーについては、「ビデオ判定の結果についてはコメントしない。判定を下すのはマッチオフィシャルの仕事で、微妙な判定がどちらに転ぶかも、勝負の一部」と勝ち組の将らしいコメントを口にした。
 コンディションの悪い日の僅差試合もものしたイングランドは、大会3連覇へ万全の態勢だ。
(文/竹鼻智)





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