国内

サントリーがパナソニックとの熱戦制し連覇! “プライドタイム”守り切った


秩父宮で2万3416人が観戦した決勝。歓喜したのはサンゴリアスだった(撮影:松本かおり)

 ジャパンラグビートップリーグと日本選手権の両タイトルをかけた日本一決定戦が、1月13日に東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれ、前年度王者のサントリーサンゴリアスが今季無敗だったパナソニック ワイルドナイツを12−8で下し、連覇を達成した。
 サントリーは5回目のトップリーグ制覇、日本選手権優勝は8回目となった。

 頂点に導いたサントリーの沢木敬介監督は、「去年のチームを超えることをターゲットにして1年取り組んできて、ベストのゲームができた。どこのチームよりハードワークしたという自信を持って臨んだ。最後はパナソニックの流れだったが、それをよく引き戻した」と選手を称えた。

 試合開始早々、守りで奮闘して敵陣深くまでエリアを取ったサントリーは、連続攻撃からSOマット・ギタウがディフェンス裏にキックし、バウンドボールを確保したCTB中村亮土がゴールに持ち込み先制した。

 パナソニックは8分、司令塔のベリック・バーンズが負傷でプレー続行不可となってしまったが、速いテンポの連続攻撃でゴールに迫り、LOヒーナン ダニエルがインゴールに押さえ、点差を詰めた。

 その後、両チームともPGで追加点を挙げるチャンスを逃したが、前半のボール支配率が62%だったサントリーは32分にも敵陣深くへ入ると、スペースができた左へSOギタウがロングパスを放り、WTB江見翔太がインゴールに突っ込み、トライ。12−5で前半を終えた。

 ブレイクダウンの激しいファイトも見所だったこの試合。パナソニックのFL布巻峻介キャプテンいわく、「ゴール前の攻防はお互いのがまん比べだった」。
 しかしパナソニックは、前半に頭を打って脳しんとうの疑いがあったFLデービッド・ポーコックが後半最初から入替となり、司令塔に続いて世界屈指のボールハンターも欠くこととなる。

「思わぬ交代などもあったが、決勝戦とはそういうもの」と語ったのはパナソニックのロビー・ディーンズ監督。「ポーコックはHIA(脳しんとうの確認)はクリアしたが、その後、本調子じゃなかったので外した」

 反撃するパナソニック。46分(後半6分)、ゴールに迫るも、サントリーが耐える。51分にも7点を追う青いジャージーが攻め込んだが、黄・黒ジャージーのFLツイ ヘンドリックがブレイクダウンでターンオーバーし、パナソニックにトライを許さなかった。

 それでもパナソニックは56分、前半途中から出場していたSO山沢拓也がPGを決め、4点差とする。

 2季ぶりの王座奪還を目指すパナソニックは63分にも敵陣深くへ。しかし、今度はサントリーのFB松島幸太朗が絡んでノットリリースザボールの反則を引き出し、12−8のまま終盤の戦いに突入した。

 パナソニックは試合終了間際、38フェイズを重ねたサントリーの攻撃を止めてボールを奪い返し、攻めて、さらに相手に反則があってゴール前5メートルのラインアウトチャンスがめぐってくる。だが、ジャンプしたLOサム・ワイクスは確実にボールをキャッチしたものの、モールを組んで押そうとした際、サントリーのプレッシャーで落球し、直後、試合終了の笛が鳴った。

「最後のラインアウトもそうですが、ああいう(苦しい)状況が今シーズン何度もあった。パニックにならず、いい判断、いいディシジョンメイキングをやれた。サントリーは心地よいトレーニングをしない。その成果が接戦のなかで出た」とサントリーの指揮官は決勝を振り返る。「自分たちはアタッキングチームだけど、勝つときはいいディフェンスができたとき。防御ではバックスペースもそうだが、オープンサイドとショートサイドのポジショニングがよかった。攻撃では、相手にディフェンスの的を絞らせないバランスがよかった」

 どっちに転ぶかわからなかった最高峰の試合。サントリーキャプテンのSH流大は、厳しいトレーニングを積み、最後まで走り切れていたので、そこの違いが出たかもしれないと言う。「パナソニックにあれだけフェイズを重ねられるのは僕たちだけだと思う」。そして自分たちの守りについてはこう語る。「精度とか別にして、とにかくゴールラインを割らせたくなかった。プライドタイム。苦しい時間帯、苦しいゾーンに入ったとき声を出すことになっているが、きょうはそれが自然と全員から出ていた」

 一方、敗れたパナソニックの布巻キャプテンは、「結果は負けたが、誇りを持てる試合。サントリーにおめでとうと言いたい。サントリーが強かった。昨年負けて、成長する時間もあったが届かなかった。また、強くなるきっかけをサントリーがくれた。次のチームにつなげていきたい」とコメント。ミスが出たのは、どこかでプレッシャーがかかっていたと思うと語り、「細かくいくべきだったのだろう。ツメが甘かった。勢いを持たれてしまって、なかなか自分たちが前に出られなかった。タックラーの精度も悪かった」と反省した。

 そしてディーンズ監督は、「選手たちを誇りに思う。今日の結果を受けても、その事実は変わらない。素晴らしい男たちが、素晴らしい仕事をした。結果として試合には負けたが、この素晴らしい決勝戦の当事者となれた。きょうグラウンドに立っていた(両チームの)選手たちが日本ラグビーを支えていくのだから、これからの日本ラグビーは明るい。この舞台に何度も立ってきたが、これまでの決勝戦の舞台をはるかに超えた素晴らしい決勝戦だった」と振り返った。

 日本一になったサントリーサンゴリアスは『Stay Hungry』をチームスローガンに掲げている。成長が止まれば、衰退の始まり。沢木監督は言う。
「毎日、少しずつでも成長していくことが大事だった。流を中心にリーダー陣が、勝つためにすべきことを、向上心を持ってやった。去年のチームを超える意識が芽生えてきた」
 チャンピオンは、これからもハングリーに進化を目指す。

RMワールドカップ2019ラグリパcolumn2