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勝って悔しい? 何を楽しんだ? 言葉で辿る「帝京大 21−20 明大」。


突破する帝京大の尾崎晟也。逆転につながる岡田優輝のトライを演出した(撮影:松本かおり)

<全国大学選手権大会 決勝>
帝京大 21−20 明治大
(2018年1月7日/東京・秩父宮ラグビー場)


 決勝戦を1点差で制し大学選手権9連覇を決めても、帝京大のWTB竹山晃暉はこう言葉を選ぶ。

「優勝した時は本当に嬉しかったのですけど、自分が全力で貢献できたかと言われると…。抜かれるシーンもあって、悔しさを持っています」

 序盤。明大のCTB梶村祐介副将は「帝京大さん(の守備網)は、外にスペースがあった」。要所で「外」を破るべく、パスの角度やおとりの動きを工夫する。

 5−7と2点差を追う前半15分、敵陣10メートル線付近左のラインアウトからモールを組む。まもなく右へ展開し、WTB高橋汰地が端を駆け抜ける。10−7。

 一時退場処分で人員を欠いていた帝京大にとっては、竹山の立つ側の「外」の補修が難しかったか。

 NO8吉田杏は言う。

「明大は外にいい選手が多いので、そこでアタックするとは思っていました。そこでうまくディフェンスできればよかったんですけど…」

 明大は守りでも前に出る。帝京大が好機で「外」へパスを出したら、そこへ魚雷のタックルを放つ。

 普段は冷静に「外」でチャンスを作る帝京大のFB尾崎晟也副将は、珍しくエラーを重ねる。
 心を乱したか。否。当の本人はあくまでも「楽しんだ」と強調する。

「焦ってライン(敵との間合い)が浅くなったという技術的な反省もあるのですけど、落ち込むよりはもう1本行こうという気持ちでした」

 王者が本領を発揮したのは、7−20と大きくリードされてからだ。

 15分。帝京大が相次いで明大の反則を引き出す。最後はLO秋山大地がインゴールを割る。14−20。

 19分。自陣ゴールラインを背に耐える局面で、吉田が接点の球に絡む。寝た選手が球を手放さぬノット・リリース・ザ・ボールの反則を誘う。ガッツポーズを作る。

「攻め込まれているなか、どこかで流れを変えるプレーを…。ここで取るしかないと、狙っていました」

 そして球を外へ蹴るのが定石も、帝京大は速攻を仕掛ける。

 一気に敵陣中盤右へ進むと、中央でパスをもらうSO北村将大の右後方へ尾崎が駆け込む。実は前半途中に足を痛めていたが、雑念を払い22メートルエリアまで突破する。

「帝京大の選手は誰かが仕掛けたら皆で付いていく意思を持っています。その前にも『あそこが空いている』といったコミュニケーションもあるにはあるのですが」

 20分、帝京大はCTB岡田優輝のトライなどで21−20と勝ち越す。最後は、HO堀越康介主将が事実上の退場処分を食らうなか耐えきった。攻めあぐねるなかで勝ち越された明大にあっては、支柱たる梶村がこう悔やんだ。

「個人としては、後半の方が僕への圧力が感じました。いいアタックをさせてもらえなかった」

 秋の対戦時は41−14と帝京大が快勝も、明大の準備と才能が勝負をもつれさせた。それでかえって、チャンプの抜け目のなさが際立った。

 終始キックミスもなくはなかった北村とて、こう言い切った。

「緊張を楽しめたと思います」
(文:向 風見也)

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