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証言で回想。V9王手の帝京大、東海大泣かせた自陣22メートルエリアでの壁


頑丈だった帝京大の赤い壁(撮影:松本かおり)

 帝京大は1月2日、東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれた大学選手権の準決勝で、昨季まで2シーズン連続でファイナルを戦った東海大に33−12で勝利。7日、同会場での明大との決勝戦で9連覇を目指す。

 新年一発目の試合。自陣22メートルエリアでの守備で光った。HOの堀越康介主将は言い切った。

「きょうは、ディフェンスの厳しさを楽しもうと思って臨みました。80分間、がまん強いディフェンスができたと思います。ディフェンス、タックル、ブレイクダウン(ボール争奪局面)…。1年間かけて積み上げてきた細かいところの、いまの時点での集大成を見せられたと思います」

 7−7と同点で迎えた前半27分、自陣ゴール前左で相手ボールラインアウトを与える。

 首尾よく球を確保した東海大がモール(立ったボール保持者を軸にした塊)を形成も、帝京大FW陣は低い姿勢で前進を許さない。レフリーが東海大に球を出すよう促す「ユーズイット」の指示を飛ばすと、帝京大FW陣は次の攻めに備え素早く後退する。

 なかでも相手の深部へ頭をねじ込んでいたFLのブロディ・マクカランは、一気に左中間あたりの区画へ大回り。対するPRの三浦昌悟副将がゴール前中央でパスを受けた頃には、マクカランはその真正面に立っていた。三浦をがっちりと受け止め、トライライン手前で倒す。最後は東海大のFLである深見瑠希が落球し、帝京大はピンチを脱した。

「(この日に向けて)いい分析をしました。ゲームプランをわかっていました。それを、(実際に)出しました」

 持ち前の危機管理能力で際立ったマクカランは言う。来日3年目。流ちょうな日本語で自らの仕事量について語る。

「すぐ、チームのディフェンスラインに入りたい。早く、次のタックルがしたいです」

 対する東海大のCTBである鹿尾貫太は、「今回は決定力の差でやられたと、個人的には思いました」。自軍が好機を逸するなか、帝京大は37分に14−7で勝ち越した。敵陣中盤で球を動かすなか、向かって右側にできた防御ラインのひずみをFBの尾崎晟也が攻略。WTBの木村朋也がフィニッシュした。

 続く後半14分には、自陣ゴール前でのスクラムからCTBのニコラス・マクカランが加点。21−7。東海大の反則を受け、敵陣の深い位置へ侵入した結果だった。

 以後も東海大はひるまず仕掛けるが、帝京大がしぶとくミスを誘う。

 14点リードを作った直後の17分には、自陣22メートルエリア左中間でFLの菅原貴人が守備ラインから飛び出す。接点から球を受けたNO8のアタアタ・モエアキオラに肩をぶつけ、落球させた。

「ずっと練習してきたように、逃げずにタックルに入ることを意識しました。相手がどこにいるかをコミュニケーションを取って、(自分のところへ)アタックしてきた時にはしっかりと入る…。練習でディフェンスにこだわってやってきた。練習でやって来たことをできたのが、よかったと思います」

 後半4分からピッチに立っていた菅原がこう喜びをかみしめる一方、戦況を見つめていた東海大の津田翔太BKコーチは「ミスをしたところは、練習でしていないプレーをしたところです」。キーマンだったモエアキオラはこの後も、タックルされながらつなぐオフロードパスをしようとしてミスを犯す。

 21分にさらに加点した帝京大は、相手ランナーが孤立したブレイクダウンでのジャッカル(相手の持つ球を奪う動き)でも光る。相手のノット・リリース・ザ・ボール(寝たまま球を手放さない反則)もたくさん引き出し、鹿尾を悔しがらせた。

「東海大としては強みのディフェンスでいいところもあったのですが、要所、要所での取り切るところでのハンドリングエラー、ノット・リリースがあって…」

 昨年度まで2シーズン連続で準優勝。今回は4強止まり。いずれも最後は帝京大に負けた。

 今季の帝京大は防御の連携に課題を残していたが、堀越いわく「気合いを入れるというより気合いが入った状態」。準々決勝から当日までの中9日という準備期間で、強力なライバルを丸裸にもできた。守備やブレイクダウンでの注意項目を遂行できた裏には、かような条件があった。

 試合直後、明大とのファイナルに向けて「きょうもいい試合だったのですけど、きょう以上のいい試合を決勝でお見せできるようにしたいです」と堀越。V9に向け、最後のクオリティーチェックをおこなう。
(文:向 風見也)

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