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強敵に立ち向かった飯田。閃いたCTB横前耕太郎の猛タックル。

ハードタックラーの飯田CTB横前耕太郎。まだ1年生。(撮影/松本かおり)


 東大阪市花園ラグビー場の正面入口を入ってすぐ、サイドスタンド裏のホールに、一人の女性が立っていた。
 飯田(長野)の旗を掲げ、入場してくる飯田の関係者を応援席へ誘導している。
「相手は桐蔭学園さんなので、大変なことになりそうですが」
 旗を片手にそう話してくれたのは、飯田のCTB横前耕太郎(1年)の母・ミツコさん。
 高校1年生になる息子は、26−5で勝利した花園1回戦の倉敷工(岡山)に先発。まもなく始まる桐蔭学園(神奈川)戦の先発メンバーにも名を連ねていた。
 
 屈強な強豪校が相手となれば、選手の親もまた不安と戦うことになる。ましてや息子は去年まで中学生。ポジションはスピードに乗って正面衝突もするセンター(13番)だ。
「胸を借りるつもりで、思いきりプレーしてほしいです」
 そう語る母・ミツコさんは大きな笑顔。“ラガーマンの母は強し”だ。
 迎えた桐蔭学園戦、長野からバス5台でやってきた飯田高校の応援団は、ノーサイドの瞬間まで子ども達へ声援を送り続けていた。

 12月30日、第97回全国高校ラグビー大会の2回戦がおこなわれ、第1グラウンドの第4試合では、桐蔭学園が飯田の挑戦を120−0でしりぞけた。
 
 この日の桐蔭学園はキャプテンのHO原田衛(3年)らがリザーブに回っていた。桐蔭学園の藤原秀之監督は「夏合宿で非常に良かったメンバー」だったと語った。
「早いうちに全国の雰囲気にならしたかった。全国でどれくらいのレベルにあるのかを確認するために起用した面もあります」(桐蔭学園・藤原監督)
 
 完封負けを喫した飯田の湯澤一道監督だが、「1、2年生は良い経験をしました。1年生は人数も多いですし、来年も人数を入れてまた頑張りたいと思います」と前向きな言葉もあった。
 18トライを浴びる防戦一方の展開において、光を放つ飯田の選手もいた。
 1年生センターの横前もその一人だった。昨年まで中学生だった細面のセンターが、絶妙なタイミングで強い姿勢を作って突き刺さる。天性のタックルセンスの持ち主だった。
「彼(CTB横前)のディフェンスは良かったです。中学の時からタックルだけでいろんなところで誘われていました。(今大会の)2試合を通じて、彼が一番良くやってくれたんじゃないかなと思います」(飯田・湯澤監督)

 CTB横前は中学時代、県外を含む3、4校から誘いがあったという。進学先に飯田を選んだ理由は、ディフェンス、だった。
「小学校の頃から飯田高校のディフェンスを見ていて、カッコいいなと思っていました」
 そして憧れていた緑×白ジャージーに身を包み、花園第1グラウンドの観客をタックルで沸かせることになった。

 CTB横前は120点を奪われても止まなかった声援、そして親のサポートに心から感謝している。
「応援が力になりました。自分がここまで来ることができたのは親のおかげです。親が食事面でサポートしてくれて、体重も増えました」
 まだ高校1年生。来年へ向けて、十八番のディフェンスを磨いていくつもりだ。
「確実に止められるのは武器になりますし、ディフェンスができれば飯田高校らしいラグビーもできると思います」
(文/多羅正崇)





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