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日本代表・稲垣が見る対フランス代表戦スクラム。「一番スキルに長けていた」


スクラム世界一ともいわれるフランスに挑んだ日本(撮影:志賀由佳)

 4年に1度あるワールドカップの日本大会を2年後に控えるラグビー日本代表は、11月25日、敵地ナンテールのUアリーナでフランス代表と23−23で引き分けた。

 同大会準優勝3回の強豪を相手に鋭い防御や緻密な攻撃戦術で主導権を握ったが、お互いにミスを重ねたか。取材エリアに現れた選手の口からは、内容面への手応えと勝ち切れなかった悔しさがないまぜに伝わってきた。

 特にFWが8対8で組み合うスクラムでは、「まだまだ足りない部分があったのでは」と左PRの稲垣啓太が言う。

 運動量や突進力でも魅する身長186センチ、体重116キロの27歳は、攻防のシステムの実行力には収穫を得たものの、自身が最前列で組むスクラムについては反省の弁を残した。

「やるべきプランはうまくいっていた。ただ、要所、要所で、スクラムがもう少しうまく組めたら…ということはありました。相手(の組み方)に対応できたと思ったら、組み方を変えられました」

 チームは長谷川慎スクラムコーチのもと、FW8人それぞれの姿勢や押す方向、組む前のルーティーンを明確化。小さくまとまるスタイルを落とし込んでいる。

 ところがこの日は、首尾よく相手のコラプシング(塊を故意に崩すペナルティ)を誘った時もあったが、別な場所では劣勢に追い込まれるなどした。組み合うたびに、圧力のかけ方などを変えられたようだ。
 
 フランスはスクラムを文化とする国。日本代表の前スクラムコーチも元フランス代表HOのマルク・ダルマゾで、短期集中型セッションを連続するエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチのもとでも制限時間を超過しての組み込みが許されていた。長谷川コーチもヤマハを指導していた2011〜16年、何度もフランスへ渡っている。選手を連れ、現地の各クラブでスクラムを組んで回ったりもした。

 かような歴史も手伝ってか。日本代表19キャップを持ち、国際リーグのスーパーラグビーも過去3シーズン経験した稲垣も、フランス代表のスクラムをこう見るほかなかった。

「いままで戦ったなかで、一番スキルに長けていた相手だったんじゃないでしょうか」

 自身が退く直前の後半28分。2点差を追うなかで、自陣中盤左の1本を気圧された。相手にペナルティキックを与え、18−23とリードを広げられた。稲垣は繰り返す。

「対応したら、すぐに変わる。そんな感じです」

 今後は、相手のいかなる揺さぶりにも動じない領域まで自分たちの形を煮詰めたいところか。長谷川コーチは以前、別の試合のレビューをするなかこう話していた。

「相手に合わせるのではなく、相手にこっちに合わさせろと言っています」

「人に何と言われようと、『日本はこう組まないと勝てない』というものが自分のなかにある。そこから外れた組み方をして押されていたら、元に戻す」

 フライング気味に圧力をかけたり、比較的小柄な日本人選手を持ち上げようとしたりと、相手はそれぞれの手法で日本の形を壊しにかかる。それへの対応力をつけるにはどうすべきかとの問いに、稲垣は、さまざまな相手のさまざまな組み方を体感するほかないと応じた。

「僕ら(第1列)だけが(対処法を)わかっていても後ろ(2列目以降)がわかっていないと(相手の仕掛けに)対応できない。そういう意味では、経験しかない。経験を積んで、それが、これからのスクラムにどう影響してくるか…。結局、いまのスクラムは、一人ひとりの仕事を明確にしています。逆に、1人が理解していないと苦しくなる」

 フランス代表戦で日本代表の「後ろ(LO、FL、NO8)」で出場した7名のうち3名は、この秋初めて長谷川コーチの指導を受けた選手。現代表の組み方の徹底と相手への対策を両立させる経験は、この3名にとって今回が初めてだった。

 スーパーラグビーのサンウルブズと連携した一貫指導の成果は、時間を重ねるほどに具現化されるか。今度の80分がどう活かされるかに注目が集まる。
(文:向 風見也)

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フランス戦でボールを手にする稲垣啓太(撮影:志賀由佳)

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