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東海大との全勝対決へ「テンポを」。大東大新人SH南昂伸のビジョンに迫る。


大東文化大のSH南昂伸。写真は10月9日の日本大戦から(撮影:松本かおり)

 関東大学リーグ戦1部は佳境を迎える。11月18日、東京・江戸川陸上競技場では開幕5連勝中の東海大と大東大が激突。両軍とも次戦を含め2試合を残すのみとあって、全勝対決を制した方が優勝へ大きく前進しそうだ。

 過去の成績に基づけば、2連覇中の東海大に前年度3位の大東大が挑む格好か。青柳勝彦監督体制5年目の大東大にあって、攻撃の起点に入るのは南昂伸だ。奈良・御所実出身の1年生SHで、身長164センチ、体重69キロと小柄ながら、50メートル走タイム6秒4というスピードで光る。自分の長所を生かすべく、淡々と準備を重ねる。

「厳しいゲームになると思うので、自分が焦らないでFWをリードする。そしてFWがマークされたなと思ったら自分が(仕掛けに)行ったり、FWをダミーに使ってBKへ回したり…」

 10月29日、土砂降りの雨に見舞われた東京・秩父宮ラグビー場で昨季2位の流経大と激突。0−14とビハインドを追っていた後半開始早々、持ち味を発揮する。

 敵陣中盤で味方がこぼれ球を拾って間もなく、接点に駆け寄った南はしばし静止。視線の先の相手防御網が飛び出すのを確認するや、その背後を目指すかのようにボールを持って駆け出す。かき回す。

 自身の右斜め後方の佐々木剛にパスしてからは、落ち着いた球さばきにシフトチェンジ。22メートルエリアで、複数のフェーズを重ねる。

 最後はアマト・ファカタヴァが複数のタックラーを引き寄せオフロードパスを放つ。星野大紀、シオペ・ロロ・タヴォとつなぎ、5−14と迫った。

 チームは結局、19−14で逆転勝利を決める。反撃ののろしを上げるランと指揮について、南はこう振り返るのだった。

「流経大さんはアップディフェンスをされる(幅広に立って揃って前に出る)。(接点の近くに立つ)自分とポスト(接点の真横の選手)の間が広いのがわかっていたので、持ち味である(球を拾って)前に出るというプレーができたと思います」

「ゴール前はゆっくり。雨やったので、そんなにテンポを出しても仕方がない。落ち着いたプレーを1週間、やって(練習して)きたので」

 戦前に相手防御の特徴、試合に向けたフォーカスポイントなどを整理。そのうえで、自分の持ち味をどう発揮するかをイメージする。流経大戦の働きはその資質の現れのようで、当の本人はこうも語っていた。

「相手のビデオをしっかり研究する。流経大さんはたまたまアップディフェンスをするから、先輩からも『思い切って持ち味を出せ』と言われました。ただ、試合によってはそんなに(ボールを)持たなかったり。全部を同じようにしてしまうと相手にも読まれるので、いろんな使い方(プレー選択)をしようと思っています」

 大東大のSHには、昨季まで4季続けて小山大輝(パナソニック)が入っていた。卒業に伴うレギュラーの交代は懸念材料ともされたが、春から先発に定着の南がその議論を止めた。小山と南の長所が似ていることから、監督として大学選手権3度優勝の鏡保幸特別顧問は「今年は小山の5年目」と冗談交じりで言ったほどだ。

 どうやら鏡特別顧問は、小山の在学中から全国各地の高校生大会で「小山の後釜」候補をリサーチ。WTBとSHを兼務していた南に白羽の矢を立てた。クラブの歴史の生き証人のニーズに、聡明な走り屋が応えつつある。

 フィジカリティが強みの東海大は、一つひとつの接点への圧力で大東大の球出しを遅らせるだろう。雨中の流経大戦では「ゆっくり」と意識した南だが、東海大戦では「テンポを出していく」という。高校時代から味方に小柄な選手が多かったため、大男の圧力をかわす術は身に付けてきたつもりだ。

 東海大戦も雨天が予想されるが、望み通りの展開に持ち込めるだろうか。

(文:向 風見也)

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