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最古豪・慶大が王者・帝京大に3点差と迫る! 激戦誘った両軍の心境は。


堅守で帝京大を苦しめた慶應義塾大(撮影:塩隆)

 大学選手権8連覇中の帝京大、岩出雅之監督は、試合前の選手に「クロスゲームを意識していこう」と声をかけたようだ。

 11月5日、神奈川・相模原ギオンスタジアム。国内最古豪の慶大とぶつかる。このカードは加盟する関東大学対抗戦Aの7戦中5試合目にあたる。

 12月からの大学選手権を含めたシーズンは、大詰めを迎えつつある。それだけにこの日の岩出監督は、接戦を勝ち切るのに必要な丁寧さと激しさを心掛けて欲しかったようだ。

 とはいえ「指導者は、口でそう言っていても…」。もちろん、安全運転で戦い終えるに越したことはなかった。実際に「クロスゲーム」のまま試合が終わると、まずは選手を褒めた。

「なかなかきょうのようなゲームは、意図的にできるものではない。そんななか、粘り強くやってくれたと思います。勝ち切ったことをよしとして、細かな点を見直して、(次戦へ)しっかり準備して臨みたいです」

 最終スコアは、1トライでひっくり返る31−28だった。HOの堀越康介主将もこう総括する。

「アタックではフィジカルで勝負しよう、ディフェンスでも前に出続けよう、と、挑みました。ただ、特にディフェンスで前に出きれたかと言われれば、そう言えない部分も多々ありました。このクロスゲームを勝ち切れたことを糧にして、反省点を直しながら、次の試合に向けて頑張っていきたいです」

 序盤に点を取ったのは、帝京大だった。

 前半11分、自陣中盤からのカウンターアタック。敵陣ゴール前でのボールの奪い合いの末、WTBの元田翔太が同22メートル線付近右で球を受ける。そのまま先制する。元田は続く23分にも、敵陣深い位置で右タッチライン際を駆け抜ける。帝京大はセットプレーを介さぬアンストラクチャーからの攻撃が冴え、14−0とリードを奪った。

 もっともこの間、王者は攻め込んだ先での落球を連発していた。チャンスを仕留めきれない印象を与えていた27分、点差を縮められてしまう。

 この時の慶大は、自陣中盤右で帝京大のハイボールをキープして大きく左へ展開。CTBの堀越貴晴が飛び出す防御網の裏へ短く蹴り、自ら捕球する。右隣に立ったCTBの栗原由太がパスを受け取り、WTBの宮本瑛介につなぐ。最後は宮本が左タッチライン際を駆け抜け、7−14と迫った。

 帝京大は直後の28分に21−7とスコアを広げるも、34分にはまたも防御網を破られ、21−14と差を詰められる。試合後の堀越主将はこうだ。

「最初の10分くらいはすごくいい形でディフェンスできたと、自分たちのなかでは思っています。ただ途中、フェーズを重ねられた時、オープン側とブラインド側の(人数などの)バランスが悪くなって、慶大さんのBKの縦のラインに後手を踏み、ゲインを切られた部分が…。FWとBKのつなぎ目などのコミュニケーションを取る、ポジショニングを早くするなどして改善できるところはたくさんある。これから選手同士で話し合いながら、次の試合に向け頑張っていきたいです」

 帝京大は38分、敵陣ゴール前で相手反則を得る。今季からゴールキッカーとなったWTBの竹山晃暉が、公式戦で初となるペナルティゴールを決めた。

「やっぱり、1点の重みは感じました。ずっとクロスゲームを予想していましたし、重要になるのは僕のキックだなぁと思っていました」

 本人がこう振り返る加点シーンは、結果的にチームを助ける。慶大は続く38分もBKラインの鋭い仕掛けで敵陣深い位置へ侵入し、帝京大の反則を誘発。ゴール前左のラインアウトから右中間までの攻めで、対するFLのジョセファ・ロガヴァトゥの一時退場処分も引き起こした。その地点で選んだスクラムを押し込んだロスタイム43分、CTBの栗原が止めを刺した。24−21と迫った。

 ハーフタイムが明けると、球を持つ帝京大に対し慶大がタックルで挑んだ。

 LOの佐藤大樹主将はこの時間帯を「相手にボールを持たれた時間が長い。簡単にボールを渡すとなかなか取り返せない」と反省しながら、「レッグタックル(相手の足元へ刺さる)と攻守の切り替えを意識して臨んだ。そこは、悪くないなと」。特に自陣ゴール前に押し込められた10〜15分頃は、しばしラインブレイクを許しながらもゴールエリアでのトライセーブタックル、トライライン近くでのインターセプトなどでしのぐ。

 再三のエラーで足踏みした帝京大は、26分になってようやく後半初得点を決める。敵陣22メートル線付近左のラインアウトモールを起点に、ロガヴァトゥのトライなどで31−21とする。ところが40分にはこの午後活躍の慶大CTB堀越にトライを与え、わずか3点のリードを必死に守ることとなった。

 新システムのインストール期に充てる傾向もあってか、この時期の帝京大は試合運びに難儀することは少なくない。今季も10月28日の早大戦は40−21と、前年度の75−3より大きく迫られた。かねて見た目上の点差よりプロセスを重視する帝京大にあっても、選手たちの顔には消化不良の感がにじむ。

 いつもは前向きに言葉を選ぶキッカーの竹山も、フィニッシュの際の精度についてこう述懐する。

「ここを取り切れないと、これからは勝てない。丁寧にやりたいです。きょうは勝てたということはよかったですが、満足できない部分もある。しっかりと反省して、厳しくやっていきたいです」

 もちろん、この激戦を作った要素には、慶大の決意と献身もある。敗れた金沢篤ヘッドコーチが善戦に満足していないことこそ、それを物語った。

「最初の2失トライが…。自分たちの準備していたことができずに取られてしまって、最後まで帝京大さんにリードをキープされたことが、一番、厳しかったのかなと。ボールを持てば思っているようなアタックはできていたので、(この負けを)いい勉強だと思って次に活かしたいです」

 このゲームは現時点の対抗戦で唯一の全勝対決。勝った帝京大は18日の明大戦(神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場)に勝利すれば、1試合を残して対抗戦7連覇を決める。かたや慶大は23日、早大戦(東京・秩父宮ラグビー場)に臨む。

 もし残り2試合で帝京大が2連敗して慶大が2連勝すれば慶大が優勝となるなど、混戦の様相は続く。

(文:向 風見也)

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