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「あそこで変わった」。トヨタ自動車、リコー戦勝利導く後半22分の1本。


リコー戦の終盤、スクラムを押すトヨタ自動車(撮影:斎藤豊)

<ラグビートップリーグ 2017−18 第7節>
リコー 6−12 トヨタ自動車
(2017年10月7日/岩手・いわぎんスタジアム)


 大雨に見舞われた中位勢同士のカードでは、紙一重のつば競り合いが重なった。

 序盤戦でしぶとさを示したのはリコーだ。

 LOのブロードハースト マイケルは、相手ボールのラインアウトで空中の捕球役や地上での球の受け取り役に何度も身体をぶつける。FLの武者大輔は敵陣深い位置で先制ペナルティゴールをもたらすジャッカル(肉弾戦での球への絡みつき)を繰り出し、蹴り合う展開にあってどんどんタックルを放った。

 そしてスクラムでは、眞壁貴男が魅す。身長170センチの左PRは、自分より15センチも大きな対面の浅堀航平を手こずらせた。3−0で迎えた前半20分台は組めば差し込むの繰り返し。浅堀は、正しいフォームを保てなかったと認める。

「胸を張って真っすぐしようと意識していたのですが、内側に…」

 しかし、リコー防御網を締めるCTBの濱野大輔は、後に「細かい差が出た」と悔やむこととなる。

 6−0と点差を広げていた37分はキックの補球エラーから、41分には攻め込んだ先でのパスミスと反則を契機に陣地を侵される。そのいずれの機会でも失点し、6−6の同点でハーフタイムを迎える。一連の流れにおいて、対するSOのライオネル・クロニエの技が光った。

 さらにリコーは、6−9と3点差を追っていた終盤に防波堤を決壊させてしまう。

 それは、リコーが隙を突いて敵陣ゴール前左まで進んだ後半22分。次のプレーを自由に選べるペナルティキックの機会でスクラムをチョイス。ところがこの時点で、健闘してきた眞壁が負傷交代となった。

 刹那、トヨタ自動車のジェイク・ホワイト新監督は、苦しむ最前列のメンバーの3人中2人を同時に交代させる。中央のHOには昨季のレギュラーだった上野隆太が「外で観ていてターニングポイントだと思っていたところでいくぞと言われて。ここで出してもらえたのはありがたい」と意気込み芝に出る。さらに浅堀のいた右PRには、身長187センチのルアーン・スミスが入った。

 加入3季目のスミスの強靭さには定評があり、かねてからリコー陣営も警戒していた。そのため極端に低い姿勢の眞壁を今季初先発させたのだが、肝心の直接対決はなかった。

 ここでの1本を押したのは、トヨタ自動車だった。

 一気に陣地を奪い返すや、3分後にはペナルティゴールでだめを押す。以後のスクラムでは、「一人ひとりじゃなく、全員で組んだ」というスミスのパワーが目立った。

「眞壁を早めに代えなきゃいけなくなって…。スクラムは、おもしろいね。リコーも層を厚くしなきゃいけない」

 リコーで生え抜きの岡崎匡秀FWコーチは、こう唇をかむ。一方、かつて南アフリカ代表を率いていたホワイト監督は後半22分の1本をこう振り返るのだった。

「あそこで、試合の流れが変わりました。正しい時に正しいスクラムを組むのが重要だとわかりました」

 戦前からクロスゲーム必至とされた80分を制したのは、相手のひずみを無慈悲にえぐる名手の力だった。

(文:向 風見也)

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