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「豪快にやりたかったが…」。明大・前田剛が「ザ・メイジ」から脱皮したわけ。


明大の前田剛。写真は春季大会の大東大戦から(撮影:矢野寿明)

 夏合宿2日目の8月15日は、大学選手権8連覇中の帝京大に27−56と敗戦。もっとも終了まで2日と迫った27日は、同準優勝の東海大に42−19で勝った。

「東海大は、自分が入学してから勝てていない相手。帝京大、東海大の2強と言われているなか、どれだけチャレンジできるのかがキーでした。FWは、アタックではダイレクトに身体を当てる、ディフェンスではダブルタックルで勢いを殺す。そう意識したことが80分のなかで多く出た試合だったと思います」

 長野・菅平で合宿をおこなった明大にあって、東海大戦後にこう話すのは前田剛。兵庫・報徳学園高出身の4年生だ。

 身長181センチとFLやNO8でプレーする選手としては決して大柄ではなくとも、迷いなき突進や肉弾戦へのぶちかましで存在感を示す。「前へ」を部是とするクラブにあって、今季の象徴にも映る。

 この日の明大は前半30分ごろ、自陣深い位置での攻守逆転からトライを奪っていた。ここで7−7と同点に追いつくと、ハーフタイムまでに21−7とリードを広げた。前田は、試合内容への手応えを語る。

「いままではピンチの時にすぐスコアをされ、自分たちが大チャンスの時には相手に防がれてトライを獲れないというのが悪い伝統でした。ただ、きょうはFWを中心にいい態度でディフェンスに臨むことができて、あの場面(前半30分ごろ)はターンオーバーから一気にトライに持っていけた。相手のFWの運動量が落ちているのも試合をしながらわかりましたし、あそこが勝負の綾だったと思います」

 昨季は3回戦(初戦)で京産大に屈すなど、過去12度優勝の大学選手権では思うような結果を残していない。現代の大物を倒すべく名門に加わった前田は、入学以来、徐々にモデルチェンジを図っている。

 具体的には、下級生時にひたすら積み上げてきた体重を徐々に削る。一撃のインパクトを維持しながら、プレーへの参加回数を増やすためだ。卒業後は国内最高峰であるトップリーグでHOに転向しそうな本人が、変革の道のりを明かす。

「体重で言うと、入学前は92〜3キロで、いまは98キロです。去年は100キロ以上あって、縦のプレーなどの『ザ・メイジ』といったものを目指していたのですが、それではなかなかゲインライン(攻防の境界線)も切れない。本当は豪快にやりたかったのですが、昨シーズンが終わった時、これをやったままでは今後に上へ進むのが厳しくなると思いました。オフの間も体重のコントロールをしました。それと、以前まではトレーニングと言えばウェイトトレーニングばかりでしたが、いまはバイクを漕ぐフィットネス、バランストレーニング、アジリティートレーニングにフォーカスしています」

 その意気込みは、細部ににじませる。

 ランナーとしてもただ相手防御を破って倒れるだけでなく、地上での匍匐(ほふく)前進とその後の身体の反転を心掛ける。相手防御の手に触れないようボールを地面に置き、次の攻撃の勢いを下支えするのだ。

「今年は動きの切れも出て、身体の調子もいい。去年までは何も考えずに『メイジのNO8だから縦や』と言っていたんですけど、今年は80分間ワークレートを高く保ってタックルをするといった部分にこだわっています」

 LOの古川満主将を支えるCTBの梶村祐介副将とは、小・中学生の頃に通っていた伊丹ラグビースクール時代からの幼なじみ。プレーとプレーの合間に情報交換をおこなう際は、ポジション柄両リーダーの間へ入る前田が一定の役割を担う。

「試合中に僕とカジがしゃべって、(内容を)皆に伝えたりしています。長くやっていることもあって、お互いにコミュニケーションを取りやすい。グラウンド内でも、グラウンド外でも、いい関係だと思います」
 
 所属する関東大学対抗戦Aの初戦は、9月16日に控える(神奈川・秋葉台公園球技場/対 青山学院大)。

 田中澄憲ヘッドコーチを招いて「NEW MEIJI」というスローガンを掲げるクラブにあって、「パワーだけでやるのは高校生まで。ここからもう1段階レベルアップするにはアジリティーや、タックルした後にすぐに起き上がってディフェンスラインに戻ることなど(が必要)」。古き良き風情を保ちながらも新しいスタイルをインストールし、背番号6を守る。
(文:向 風見也)

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