女子

秋田でメジャー大会初トライ。元ハードル女王、寺田明日香のアスリート感覚。

半ズレの状態からいっきに引き離した寺田明日香。
(撮影/松本かおり)


 広いスペースを攻略した。
 防御裏に出られた選手にすぐに追いつくシーンも。
 独走していた相手との距離を瞬く間に詰め、慌てさせたときには、観戦者を驚かすスピードを見せた。
 陸上競技、女子100メートル障害(ハードル)の元日本王者(日本選手権3連覇/世界選手権出場)である寺田明日香だ。5月13日に始まった国内最高峰の女子セブンズ大会「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2017」第1戦の秋田大会。千葉ペガサスのメンバーとして同大会にエントリーしたスピードスターが初の公式戦で初トライも挙げた。

 2013年に陸上競技の世界から引退して3年ほどアスリートとしての生活から離れていたが、周囲のすすめもあって昨年9月からラグビー界に生きる。東京フェニックスに加わり、12月には日本ラグビー協会が呼びかけた女子選手発掘のためのトライアウトに挑戦。そこで合格し、女子セブンズ代表の強化合宿に練習生としての参加機会を重ねてきた。
 ラグビー選手としての基礎作りを進める途中、ローカル大会で短い時間ながらプレーする機会もあったが、トップクラスの複数チーム、選手が集う全国規模への出場は、今回の秋田大会が初めてだった。

 初めてのトライは初戦、チャレンジチームとの一戦だった。後半3分に途中出場でピッチに入った後、5分50秒過ぎにそのときは訪れた。敵陣22メートルライン手前でボールを受けた寺田は、瞬く間にディフェンダーとの差を広げてインゴール左中間にボールを置いた。
「(パスを受けたとき)半身ズラした状態でした。外にスペースもあった。走り切れるという確信があったのでいきました。そのプレーの前にパスをもらったときは(相手に)捕まって、仲間がサポートに来てくれた。そしてつないだシーンもあったから、次は決めないといけないな、と思っていました」
 100メートル走のベストタイムは11秒71(100メートル障害は13秒05)。50メートルを6秒2で駆けたこともあるスピードは、大会の中で抜きんでているように見えた。

 仲間や対戦相手と比べればラグビー経験は浅い。この競技についての知識はまだ足りないと自覚している。
 ただ、アスリートとしての感覚は鋭い。自己分析は的確だ。
「ステップなども練習してきたのですが、まだ100パーセント(のスピード)ではできない。相手との距離感とか難しいですね」
 この日の2試合目となった追手門学院女子ラグビー部VENUS戦、こんなシーンがあった。
「ひとり目は抜いたのですが、(次の)スイーパーに捕まった。どうしようか…と考える前にタックルされました。そういう判断を高めていかないと。周囲より経験が浅いのでディフェンスは劣っていると思います。私の強みは足の速さ。そこを活かせるようなアタックをステップアップしていけたらいいですね。練習でのホールドゲームなどとは違い、公式戦だからこそ気づけるものもあったと思います」

 スピード面にも、まだ追求したい点がある。走り出せば他を圧倒できるものを持っているものの、はじめの3歩、初速がまだ足りない。ディフェンス面にも不満を感じている。仲間には「追いついて捕まえるだけでいい」と言われているが、そこも高めていきたい。
「ここ(この大会)に来られないメンバーもいた。その思いも背負ってプレーしました。私に回せばトライを取ってくれると思ってボールを回してくれていると思うので、責任感を持ってプレーしています。高い確率でトライをとれるようにしたい」
 最初は「よく分からない」の連続だった試合後の感想が、ラグビーの知識が増えていくにつれて、悔しさが増してきた。
「それが出てきたのは、スポーツ選手としての感覚が戻ってきたのかな、と思います」
 これまでは一人で勝利と記録更新を目指す人生だったけれど、2020年の東京五輪へと続く道は仲間と歩む。それが心地よい。



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