国内

根付きはじめたチーム文化。青山学院大学の一体感。

失トライ後に仲間へ声を掛ける青山学院大学、SH肘井祐大主将
(撮影/多羅正崇)


 どんなに失点しても、コミュニケーションを止めなかった。
 ハーフタイム中の仮設テント下で、失トライ後のインゴールで――。失9トライ、53失点を浴びながらも、青山学院大学のフィフティーンは言葉を交わし続けた。

 セブンズ日本代表をはじめ、セコム、東海大学、日本大学などで指導を重ね、青学大で2季目を迎えた加藤尋久監督。敗戦を受け止めつつも、選手に芽生えた自主性について話が及ぶと、表情をほころばせた。
「選手たちの意志を一番に大事にしたい。要はグラウンドのなかで、どう自分たちで修正していくのか、というところが必要になってくる。監督に『こうしろ』と言われて何も考えずにやっているのではいけない。自分たちが意志をもって、『俺はこうした』『でもこの時はこうした方がよかった』――そういうものが広がっていくベースを、いま作っているという感じですかね」

 4月23日、関東大学春季大会Bリーグの開幕戦(慶大G)がおこなわれ、昨季の関東大学対抗戦Aで4位だった慶應義塾大学が9トライを奪い、同リーグ6位だった青学大を53−5で下した。青学大の加藤監督は敗戦を振り返り、「一つひとつ順を追ってやっていきます」と先を見据えた。
 
 スクラムではプレッシャーをかける場面もあった。
 機動力溢れる青学大のバイスキャプテン、HO猪飼惇には手応えがあった。
「(スクラムは)想像以上に組めていました。スクラムとラインアウトは重視していて、ユニットの時間も多く取ってきたので、意識はだいぶ変わったと思います」
 
 しかしセットプレー以外のフィールドプレーで劣勢を強いられた。
 アタックではFB野恭二らが突破を見せるも、ブレイクダウンで圧力を受けてフェイズの数が伸びない。ディフェンスではHO猪飼、バックスからコンバートしたNO8石田僚らが鋭いタックルを放つが、ポジショニングの遅れなどから差し込まれる場面が見られた。

 前半4分、12分、19分、33分と4連続トライを奪われるも、36分、精度を高めてきたラインアウトモールで1トライを奪取。前半を5−24で折り返したものの、後半も23分までにさらに4トライを上積みされた。

 試合時間残り17分で、スコアは5−46。

 その8トライ目を奪われた直後、ジャッカルでも魅せる青学大の新キャプテン・SH肘井祐大は、インゴールで仲間へ向かって「同じミス!」と発した。
 青学大のメンバーたちも、息を切らし、給水をしながら言葉を重ねていく。次第に議論の様相を呈すると、SH肘井キャプテンを中心に自然と輪ができた。慶大のキッカーを務めたFB高木一成が、コンバージョンを蹴るまでの短い間だ。
 
 SH肘井キャプテンは試合中の思考力がついたと語る。
「考える、という習慣はついてきているのかなと思います。(加藤監督が)やるのは自分たちだという環境を作ってくれています。ただ(今日は)試合中にそれを修正できていなかった、ということが課題です」
 
 後半32分にも1トライを奪われ、最終スコアは5−53になった。

 しかし青学大はゲームの最終盤、強烈なプレッシャーをかけていた。

 39分、インゴールを背負った青学大が飛び掛かるようにタックルを見舞う。慶大をじりじりと後退させ、生まれたブレイクダウンで圧力をかけて攻撃権を奪ってみせた。
 コミュニケーションを通して最後まで緩まなかった結束が、大差のついた終盤で力を示した。最後のプレーも、ブレイクダウンでファイトし、慶大のアタックを途絶えさせてのノーサイドだった。

 青学大の春季大会第2戦は、4月30日、神奈川・神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場で筑波大学との対戦となる。
 
 根付きはじめたチーム文化は、やがてどんな成長を遂げ、秋にどんな果実を実らせるのか――。青学大の挑戦が始まっている。
(文/多羅正崇)



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