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NZ経験者の茂野海人が見た、2年目サンウルブズ始動期。楽しみな対戦は…。


サンウルブズの練習で明るい表情の茂野海人(撮影:松本かおり)

 全体練習後、同じSHの小川高廣とハイパントを蹴り合う。前年度も、当時の所属選手とパス交換を繰り返していた。時間を見つけて個人スキルを磨くのが、習慣となっている。

 日本代表として3キャップ(国際真剣勝負への出場数)を持つ茂野海人は、2月1日からサンウルブズへ帯同。国際リーグのスーパーラグビーへ参戦2季目となる日本の若きクラブにあって、4人のライバルと定位置を争う。

 スコッドは51名という大所帯で、スーパーラグビー未経験者25名が含まれる。日本代表42キャップの田村優は、組織力を高めるためには「去年からいる選手の責任は大きいと思います」と話していた。26歳の茂野もその「去年」のシーズン、11つの公式戦を経験。グラウンド内外での存在感を期待されそうだが、当の本人は「試合に出ることにフォーカス」。いちからのスタートを強調する。

 その背景には、ここまでの足跡がある。

 サンウルブズでのパフォーマンスが認められた茂野は、昨年6月に日本代表デビュー。しかし、シーズンが終わって本拠のNECへ戻ると、その後は「自分的にも、よくはなかった」。国内のトップリーグでのパフォーマンスに不満足を覚えるなか、同11月の日本代表メンバーからは落選。9月就任のジェイミー・ジョセフ新ヘッドコーチのもとでは、まだ国際舞台を踏んでいない。

 ジョセフ体制下のジャパンと今季のサンウルブズは、戦術やプレースタイルを共有する見込みだ。システム理解などの面では、昨秋のツアー組を追う立場だと自覚しているのだろう。だからこそ茂野は、「試合に出ることにフォーカス」と言うのである。

「新しく入った僕たちは早く学んで、早くひとつのチームになれるように…」

 2月2日、東京・辰巳の森海浜公園ラグビー練習場。小川との居残りセッションを終えると、こんな決意を明かした。

「僕は11月のメンバーから外れているので、しっかりとチームに混ざっていけたら。(昨年度と比べ)新しいプレースタイルに変わっている。早めに慣れていきたいです」

 都内で1日から3日間あった初回合宿では、日本代表58キャップを誇るSHの田中史朗が「静かかな、と思います」と吐露した。2013年度から4シーズン、スーパーラグビーのハイランダーズ(ニュージーランド)に在籍した32歳。国際的なプロクラブの水準を鑑み、連携確認時の声の量に物足りなさを感じたか。

 茂野も「ひとつひとつのコールが少ない感じはする」と、田中の意見に頷く。「それはまだ(皆が戦術などを)理解をしていないからだと思う」とも続けた。5日からの福岡、北九州などでのキャンプを通し、ビジョンの共有を図りたいところだ。

「理解が進めば、自然と声も出てくるとは思う。フミさんみたいにしっかりと声を出してくれる選手はいるけど、そういう選手に頼っているようでは強いチームには勝てない。しっかりと、全員が声を出せるようになれれば」

 日本代表デビューを果たす前だった2015年には、ニュージーランドへ留学した。代表チームが世界ランク1位を誇るラグビー王国にあって、オークランド代表のレギュラー入りを果たす。同国の地域代表選手権であるITMカップで、パフォーマンスを評価された。

 折しも、ワールドカップイングンド大会の開幕前だった。その際の日本代表で主将だったリーチ マイケルは、海外でのプレー経験の大切さを語るなか「茂野は、すごいと思う」。当時はきらびやかな肩書きを持っていなかった日本人の挑戦を、本人のいないところで称賛していた。

 それから約1年3か月が経ったいま。茂野は、自身2年目のスーパーラグビーで何が楽しみかと聞かれた。「ニュージーランド勢と…」。前年度はレギュレーション上叶わなかった強豪チーム群との対戦を通し、司令塔としての引き出しを増やしたいという。

「ニュージーランドのチームはスペースへのアタックがうまいので勉強になります。そういう相手と戦うことで、自分の経験値は上がると思う。SHも、スーパーラグビーに出ている選手は皆、うまいと思う。突出したところがある」

――楽しみ。ただ、試合当日になればシンプルに負けたくないと思うはず。

「もちろんです」

 2月25日、東京・秩父宮ラグビー場での開幕節。相手はそのニュージーランドのハリケーンズだ。前年度王者でもある強豪との対戦時、茂野はジャージィをつかめるだろうか。
(文:向 風見也)

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