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2冠を手に。サントリー、攻撃的防御で日本選手権ファイナルで笑う。


日本選手権で4年ぶり7回目の優勝を遂げたサントリー。トップリーグとの2冠達成(撮影:松本かおり)

 華麗なトライシーンはなかったけれど、スタジアムは何度も沸いた。熱を帯びた決勝戦だった。
 ファイブポインターとなったのはたったひとり、パナソニックのLOヒーナン ダニエルだけだった。後半16分にキックチャージから転がるボールを追い、インゴールにつけた。キックオフボール確保後、ラックから直接蹴るサントリーSH流大のキックを読み切ってのものだった。
 激しいコンタクトプレーの応酬が繰り返された80分だったが、勝負の行方はパワーや勢いでは決まらず、球際のせめぎ合いと心理戦が最後まで続いた。

 1月29日、秩父宮ラグビー場でおこなわれた日本選手権のファイナルをサントリーが制した。パナソニックを相手に15−10。アグレッシブ アタッキングを標榜するチームが守って勝った。ただ守りには入らず、攻撃的にディフェンスし、常に攻める意志を持ち続けたから勝った。
 沢木敬介監督は言った。
「パナソニックの素晴らしいディフェンスに思っていたようなラグビーはできませんでしたが、これもラグビー。選手たちはよく我慢した」
 互いのチームには、ほとんど差がなかった。

 勝者はクロスゲームの中で、ほとんどの時間で先手をとった。
 先制点は前半17分。自陣でのスクラムから攻めた。広がって立つパナソニックの防御にダイレクトプレーで挑む。左への展開でCTBをタテに入れて食い込んだ後、すぐに右へ振り戻す。WTB中隆彰がラインブレイクした後の接点で得たPGを、SO小野晃征が決めた。
 その3分後にパナソニックのSO山沢拓也にPGを決められて同点とされるも、追い越されることはなかった。後半28分頃には自陣ゴール前のスクラムから攻め立てられたが、全員が低く、ハードに前に出て止め、最後はFLジョージ・スミスが巧みにボールを奪った。SH流、SO小野のコントロールで敵陣に入るプレー選択が奏功した。

 3−3で迎えた後半もサントリーは先手を取った。スクラムからのアタックでFLツイ ヘンドリックが抜けた後の接点でPGを得て6−3。15分のPGはハイタックルから狙った。
 前者は自陣でのパナソニックボールのラインアウトを奪ったところからキックし、チェイス後に取り戻したところから。後者もキックオフレシーブ後に蹴って敵陣へ入り、その後ボールを取り返した。どちらも中盤での攻防の中で手にしたチャンスだった。
 後半17分には冒頭のキックチャージからのトライ、コンバージョンで逆転された(9−10)。しかし、その4分後にはふたたびPGを決めて12−10と逆転。後半25分のPGも、自陣スクラムからのアタックでブラインドWTB中を切れ込ませてハイタックルを誘い、決めた。
 いずれも攻撃的姿勢で敵陣に入ろうとしたからつかめた流れ。トライラインにはなかなか迫れなかったが、PGの射程圏内に入る回数を増やしてスコアを重ねた。

 ロースコアの試合を制して涙を浮かべた流主将は、「ファイナルは1点差でもいいから勝つことが大事」と言って続けた。
「後半はディフェンスをブレイクされることはほとんどなかった。自分のミスでトライを奪われた後、インゴールで松島(幸太朗/FB)が『チームのミスで取られたトライだぞ』と声を出していたのを聞いて切り替えられた。パナソニックはカウンターからのアタックが得意なチームなのでリアクションを意識していたし、タックル後の起き上がりもすごくはやかった」
 思うようにアタックできなかった試合も、意志を持ってハードトレーニングしてきたから対応できた。それが勝因のひとつ。そんな思いを込めて喜びの言葉を口にした。

 敗れたパナソニックでゲームキャプテンを務めたFL布巻峻介は「お互いのちょっとしたことで勝負が動く。それがファイナル。(勝敗を分けた)ちょっとした差が何だったかはいまは分からないが、来シーズンはその差を埋めたい」と話した。
 その体感通り、最後に笑うのがどちらか最後まで分からぬ好ゲーム。ファイナルと呼ぶにふさわしかった。

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