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早明戦に「セルフジャッジ」はあった? 「激戦」の証言を探る。


早稲田大のFL柴田徹にタックルする明治大のCTB尾又寛汰(撮影:長岡洋幸)

<関東大学対抗戦A>
早稲田大 24−22 明治大
(2016年12月4日/東京・秩父宮ラグビー場)

 公式入場者数は「21,916人」。両軍の支持率の高さから、無関係に「早明戦」はほぼ無条件で大一番となる。早大の山下大悟監督はこうだ。

「伝統の一戦らしい、いい試合。スタンドの上からの景色を観て、やっぱりこれが早明戦だと思いました」

 2016年度は、最後の最後までドラマが重なった。

 後半33分に勝ち越した早大が逃げ切りにかかったのは、後半36分頃。自陣でFW陣のラック連取でボールキープし、時の経過を待つ。ロスタイム突入後、敵陣22メートルエリア右中間の接点で早大の反則が記録されるが、明大のSH福田健太はなんと速攻を仕掛ける。

 ここでペナルティゴールを選んで決めれば、得点板に「24−25」と逆転劇を記録できたのだが…。

「自分が冷静ではなかったところもあって…」とFL桶谷宗汰主将が言うかたわら、勝った山下監督は口角を上げた。

「早明戦で興奮しているというところはある。ただ、メイジさんの選択に僕から何も言うことはないです」  

 接戦の背景には、心の動きがある。

 この日は序盤から明大がペースをつかみ10点リードを奪ったが、前半24分頃、敵陣10メートルエリア右の自軍ボールスクラムでコラプシングの反則を取られる。「故意に崩す」という意味だ。

 早大は直後のラインアウトからデザインされた動きでトライをもぎ取り、7−10と迫る。34分にもスクラムでの反則誘発をきっかけに敵陣へ居座り、SH齋藤直人のペナルティゴールで10−10と同点に追いついた。

 そして後半8分。早大が敵陣ゴール前でのスクラムで明大のコラプシングを2本続けて勝ち取り、ペナルティトライなどで17−10と勝ち越した。PR塚原巧巳は一時退場した。このほかの場面でも、判定を受け入れるのに苦労したか。

 FL桶谷主将は悔やんでいた。

「セルフジャッジをしてしまった。レフリーは絶対。かみ合わなくてもこちらが合わせないと」

 本番4日の練習に平林泰三レフリーを招へいしていたという早大陣営は、自軍の守備の組織形成には概ね満足した。序盤こそタックラーが相手のランナーに押し込まれるなど根本的な勝負での劣勢を匂わせたが、LO桑野詠真主将の実感は違う。

「相手の速い選手を一瞬、観て、ファーストタックラーが緩かったり…。ただ、大きな綻びはなかった」

 スクラム、組織守備、肉弾戦を柱とするチーム作りは今後も継続。11日から参戦するトーナメント方式の大学選手権に向け、今回示したマストウィンの意識をより強めてゆく。

 明大は、「早大さんともう一度、やりたい」と丹羽政彦監督。平林レフリーの判定に明らかに首を傾げつつ「試合展開的には悪くはなかった」。PR塚原を欠いた17分に同点とし、23分には連続攻撃で勝ち越す。ここで狭い区画にラストパスを通したCTB梶村祐介は「密集の近くに相手が5、6人とたまっていたので」。スペースを見つけて攻め続ける資質には、手応えをつかむ。

「これで終わったわけではないので」

 大学選手権で両者が勝ち上がれば、1月2日の準決勝で再戦が叶う。リベンジはなるか。

(文:向 風見也)

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