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筑波大、覚悟の猛攻。優勝確定の帝京大は「気持ちが入って…ではなく…」


筑波大の鈴木啓太にタックルする帝京大の松田力也(撮影:松本かおり)

 大学選手権7連覇中の帝京大は、12月3日、東京・秩父宮ラグビー場ですでに優勝を決めていた関東大学対抗戦Aの最終節に挑み、ここまで3敗の筑波大に29−24と辛勝。ノーサイド直前まで攻め込まれるなど、苦戦した。

「若い学生にとって、本当に身体を張るのが難しいかもしれない。上手くなりたい気持ちはあるだろうけど、怪我したくないという思いもあると思うんですよね」

 自軍の様子をこう観たのは、勝って終わった岩出雅之監督。勝敗が次戦以降の立場に影響を及ぼさないなか、「気持ちが入っているというのではなく、入れようとしている」とのことだ。FBの尾ア晟也は「次につながるゲームをしようと思っていた」と強調するが、いざ芝に立てば前半29分に0−5と先制されるなど劣勢にさらされた。

 尾アは、その直前に「故意の落球」のため10分間の一時退出を命じられていた。小さな声で反省する。

「あれは完全にやってしまった…と。ファーストタックル、セカンドプレーヤー(接点への援護)とか、自分たちのやるべきことがうまくできなかった。筑波大さんの気持ちがどうだったかはわからないですけど、プレーをしていて帝京大に向かって来る気持ちを感じた。それを受けてしまったという部分が、自分たちのプレーに出たんじゃないかと思います」

 対する筑波大は、「少ない確率に賭けて、突き進んだ」とCTBの鈴木啓太。自力での選手権出場が叶わない状況下、まずは帝京大に勝ってシーズンを延長させたかった。接点での激しさ、強固なモール、展開攻撃に焦点を絞っていた。

 2点差を追う39分には、敵陣22メートル線付近左のラインアウトを後方で捕球。ジャンパーが着地する前にボールを手前に落とし、それを手にしたPRの河村峻太の突破を促す。筑波大が勢いに乗ってボールを回すと、鈴木がインゴールへ迫る。

 守備網の手前でランニングコースを変え、ラストパスをもらう。そのままトライを決め、直後のコンバージョン成功もあり得点板は「7−12」と筑波大リードを伝えた。鈴木は言う。

「イチかバチか。止められてもいいと思いながら、走りました。この持ち味は帝京大戦に出た時に通用していたので、やってやろう、と」

 一方、自身の真横を鈴木に突っ切られたのは、帝京大のSOである松田力也副将だ。

 実は昨年度11月29日にあった同カードも、17−20で落としている(東京・上柚木陸上競技場)。その時に奪われた決勝トライも、鈴木の今回と似たような走りで決められていた。

 それだけに、常勝集団の司令塔はただただ悔やむのだった。

「あのプレーは必ず来るとわかっていたのですが、その前の局面で(河村)にビッグゲインをされていたことで目(鈴木への視線)を切ってしまった。その間に走られた…。自分のミスです」

 後半開始早々は、帝京大が生来の落ち着きを取り戻す。17−12とリードして迎えた8分には、自陣深い位置から速攻を仕掛けて松田副将が敵陣深い位置へロングキックを放つ。弾道を追ったWTBの竹山晃暉がトライラインを割った。ゴール成功で24−12とした。

 しかし筑波大は、事前に用意したゲームプランを貫徹する。選手が幅広く配置された陣形を駆使し、小刻みに継続。12分にはその流れでWTBの高屋直生がトライを決め、7点差に迫る(24−17)。

 帝京大も24分に竹山がこの日2本目のトライを決めて29−17と突き放しにかかるが、後半30分以降、防戦一方となる。芝に足を取られたFLの亀井亮依主将がタックルを外されるなどし、筑波大の波状攻撃を真に受けた。ロスタイム41分、筑波大がラインアウトモールから得点する。

 ここで29−24と、帝京大はわずか5点リードで最終局面を迎える。ノーサイド直前にペナルティキックを獲得も、松田副将が選択したペナルティゴールを失敗してしまう。こぼれ球をひろった筑波大の攻撃が、しばし続いた。

「自分が(ゴールを)外してから始まったアタック。絶対に止める」

 意を決したのは、松田副将だ。

「ヤバい…というより、切り替えて…」

 自陣10メートル線付近左まで攻め込まれながら…。

「1人ひとりが役割を果たすのが大事だと思っていました」

 相手の持つ球に、手をかけた。

「チャンスがあればボールを狙っていました。まずは(相手を)止めることを優先して、結果的にボール…。そこは、よかったと思います」

 ここで逃げ切りに成功した帝京大は、亀井主将が「筑波大の信念のあるプレーを受けてしまい、課題のあるゲームでした。自分のタックルミス、セット(の遅れ)で相手にチャンスをあげたところもあった」。勝って反省との風情を醸す。

 かたやこの午後が今季最終戦となった筑波大は、「勝敗では届きませんでしたが、後輩たちに大きなものを残してくれた」と古川拓生監督が総括する。

 勝った岩出監督は改めて、12月17日から参戦する大学選手権への抱負を述べたのだった。

「きょうは、学生が次に心技体を充実させるためには、逆に、いい試合でした。主将が真面目。その意味では、次の試合は楽しみにしていただければ」
(文:向 風見也)

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