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日野自動車、君島良夫。TL復帰へ確かな手応えとは。


日野自動車の君島良夫(撮影:松本かおり)

 0−34。国内最高峰のトップリーグ(TL)への昇格をかけた、下部のトップイーストDiv.1(TE)の全勝対決を落とした。日野自動車のSOである君島良夫は、こう振り返った。

「いい薬になったと捉えていきたいです。選手たちにとっては、いい勉強になった」

 11月19日、神奈川・相模原ギオンスタジアム。対する三菱重工相模原が、TE4連覇を決めた。勝者は先発メンバーに海外出身選手を6人も並べ、縦への推進力を保っていた。

 日野自動車は倒れた選手の起き上がりの速さ、ハイパントによる陣地獲得に活路を見出そうとしていた。しかし、及ばなかった。雨中の試合会場で、いくつかミスも犯した。32歳のキャリア組である君島は、こうも悔やむのだ。

「当然のように相手のウィークポイントは分析していたのですが、相手も日野自動車に対する戦い方を用意していた。チーム全体として、向こうが上手でした。三菱にはインパクトのある選手が多いので、こちらはダブル(2人がかりでのタックル)で…と考えていました。ただ、相手も考えて1対1の状態を作ってきた。テンポを作った。それが(日野自動車の)失点につながりました」

 今季を通じての手応えなら、感じている。移籍2年目の今季は、元サントリーの佐々木隆道ら移籍組とともにリーダーシップを発揮。日々を過ごすなかで、「いい方向に進んでいる」と思うことが増えた。前年度まで9、7、4、4と上がっていた順位を、今季は最終戦を前に2位に引き上げた。

「単純に、自分たちのやろうとしていることをできるようになってきた。コーチ側の出すプランを自分たちで考えて、全員が同じ方向を見る…。自分勝手なプレーをする奴がいなくなった」

 TLは、NTTコム時代に経験。特に2010年度は全試合フルタイム出場を果たし、個人得点ランキングでは7位につけた。2014年には戦力外通告を受けたが、それと同時に社員からプロ転向。活躍の場を、オーストラリアのランドウィックというクラブへ移した。希少な体験を重ねた。

「僕はひとりで知らないところへ入ったので、自分から話していかないと得意なプレーもわかってもらえない」
 
 三菱重工相模原戦の直後、海外で学んだことを聞かれると「話しきれないぐらいある」と言う。そのひとつとして挙げたのは、チームリーダーの作法だった。寒空の下、思い出話に花が咲く。

「普段、ご飯を食べながら『あのプレーがこうだった』『次にああすれば』といったことをそのグループ同士、ポジション同士などで共有して、最終的にはチーム全体で共有していく…。グラウンド内外でリーダーシップを取ることを学びました」
 
 グラウンド外での行動を、グラウンド内でのハイパフォーマンスに直結させる。君島が海外でつかんだこの感覚は、いまの日野自動車を支える移籍組も持ち合わせていよう。「コーチ側の出すプランを自分たちで考えて、全員が同じ方向を見る」といういまの雰囲気を作った一要因は、佐々木ら新加入選手の他のメンバーへの働きかけがあったようだ。

「(日野自動車でも)去年、今年と、自分を含めて経験のある選手が集まってきた。全員が同じ方向を見る雰囲気作りができてきたな、と」

 目標のTL行きに向けては、まずは11月26日の日本IBM戦(東京・日野自動車グラウンド)を経てTE2位に入り、「トップチャレンジシリーズ2」に進みたい。この「トップチャレンジシリーズ2」を突破して「トップチャレンジシリーズ1」に加われば、三菱重工相模原など各地域リーグの首位となった計3チームとの対戦が叶う。「トップチャレンジシリーズ1」のトップはそのまま自動昇格でき、2〜4位に入ったチームもTLの下位陣との入替戦に挑むことができる。

「全員が同じ方向を見る」ための考え方を身に付けたシニアプレーヤーが、いま、若いチームの一員としてTL復帰を目指している。「日野自動車はもっと良くなります」。力強く言い残し、グラウンドを後にした。

(文:向 風見也)

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