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「あれこそがフミだ」。田中史朗がジャパンを変える。

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円陣でチームメートに訴えかける田中史朗。(撮影/出村謙知)


 当たり前と言えば当たり前だが、スーパーラグビーから戻った男たちが圧倒的な存在感を示し初めている。
 パシフィック・ネーションズカップ(PNC)最終戦を2日後に控えた8月1日(カナダ太平洋夏時間=日本時間2日)、ノースバンクーバーにあるカピラノ・ラグビー・クラブで行われた全体練習後に組まれた円陣。今季のスーパーラグビー王者の一員となった、チーム一小さい男が、他の大男たちに向けて、思いの丈をぶちまけた。

「みんな6月にしんどいことをやってきたというが、チームで一番小さい僕や日和佐をどかせられなかったり。そういう練習で何の意味があるのか。(PNCで)負けてるのに、それで、ジャパンといえるのか」
 実際にファイナルの大舞台でプレーすることはなかったものの、ハイランダーズの一員として、頂点を極めるチームの日常を体に染み込ませた。だからこそ、厳しい内容に見えるジャパンの練習も、選手たちの本気度には疑問符が付く。
「本当に勝つためにやっているのか」
 素直に感じた疑問をぶつけざるを得なかった。「チームが勝つために」、あえて厳しい言葉にした。

 田中には4年前の苦い経験がある。
 PNCで4年連続して退けるなど、自信を持って臨んだW杯NZ大会のトンガ戦。ジャパンはPNCとはまるで違うレベルのチームになっていたトンガに、まさに蹂躙された。
「('07年W杯以降)トンガと4回やって勝って、5回目に負けた。気持ちの面で4回勝ってきたからという思いで臨んだ面もあったのかな、と。1回しかない世界の戦いだという気持ちを持ててなかった。その結果、すべての面で食い込まれた」
 前回W杯に関して、「本当にシンドい大会だった」という田中。映像も他の試合はよく見るが、4年前にNZで起きたことに関しては、まだ見直してみる気持ちにはなれない。
「どういう試合をしたかも記憶から消えている。ビデオも見ていない。卑怯ですけど、(ビデオで見ても)しんどいだけなので」

「日本人が海外のプレーヤーに比べて劣るのは、『チームのために体を張る』という部分で少しブレーキしてしまうところ」
 4年前のファンガレイでの屈辱を経て、同じNZダニーデンをベースに高いレベルでの経験を続け、そう確信にいたった。だからこそ、日本代表の練習で体を張り続けることのできない選手がいることが許せない。
「4年前は自分も『日本のために』という気持ちが薄かった。そういう思いは持っていたつもりだったけど、薄かった。それが、ひとつひとつのプレーのしつこさとか、タックルも、もっと前に出たりとか。そういうすごく小さいことですけど、できていなかった」

 それに比べて、「4年間で5試合やってきて、一番強かった」というW杯でのトンガはチームのために体を張り続けているように感じた。その部分ではジャパンの完敗だった。
「海外では腕折れながらプレーしている選手もいるし、日本人ももっともっとメンタル的に強くならなければ。4年前は少し個人のことを強く思いながらやっていた。いまはチームのことを一番にプレーしようと思っていますし、自分が経験してきたことはしゃべろうとは思っています」

「あれこそがフミだ」
 円陣でのゲキの後、エディー・ジョーンズHCはそう言った。
「フミがチームを変えてくれる」
 指揮官も認める存在感。チーム一小さなプレーヤーの激しさが起爆剤になる。
 日本生まれの選手より日本人らしい気配りを見せてリーチ マイケル主将が言う。
「誰かフミに意見のある人は?」
 さらに、「ワラタスではいつもこんな感じで議論していた。自分にとっては普通」と言ってのけるのはCTB松島幸太朗だ。練習時から常に体を張り、意見をぶつけ合って、真のコミュニケーションを作る集団に身を置いてきたスーパーラグビー組。その意識の高さがエディージャパンのメンタリティーも変えていくのか。
 W杯開幕まで1か月半に迫った時点で行われる因縁のトンガ戦は、W杯本番のどの試合よりも、エディージャパンにとって大きな意味を持つ一戦になるかもしれない。
(文・出村謙知)

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