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大阪のプライドをかけて 第97回全国高校大会決勝 東海大仰星×大阪桐蔭

第97回全国高校大会の準決勝、東海大仰星×東福岡戦(撮影:松村真行)


 高校ラグビーは大阪決勝になった。
 戦後の全国大会史では2回目。19年ぶりのことである。
 東海大仰星は2大会ぶり5回目、大阪桐蔭は初の栄冠をそれぞれ目指す。
 ともにBシードだが、準決勝でAシードの東福岡、桐蔭学園をそれぞれ破った。

 東海大仰星のOB監督・湯浅大智は選手1、コーチ2、監督4の計7回目の決勝になる。
「大阪桐蔭に特別強い意識はありません。ただ、大阪から3チームが出させてもらっている現状をしっかりと受け止め、それにふさわしい試合がしたいです」
 大阪府は通年、北海道、東京都と同じ2の出場枠を持っている。63回大会(1983年度)で「前年度優勝校枠」が「開催地枠」に変わり3となった。

 湯浅は続ける。
「人から聞いたのですが、野上先生が試合前に『大阪のチームは負けたらいけない』と言われたらしい。その通りだと思います」
 野上友一率いる常翔学園は2回戦で石見智翠館に33−43で敗れる。思いとは真逆の展開になった。それでも、あえて湯浅がその言葉を引用したところに、2人の「大阪代表」としてのプライドがある。

 それは、大阪桐蔭のOB監督・綾部正史も同じだ。湯浅より7学年上の42歳は言う。
「上がってきたらそこに仰星がいた、という感じです。ただ、日本一を同じ大阪のチームと争えるのは特別。私は大阪が強かった時期を知っているので、その時に追いついたかな、という気持ちはしています」

 今の現役高校生はまだ生を受けていない19年前、78回大会の優勝旗「飛球の旗」は、最終的に啓光学園(現 常翔啓光学園)と大阪工大高(現 常翔学園)の間で争われた。
 栄光は15−12とした啓光学園に輝く。『全国高等学校ラグビーフットボール大会80回記念誌』にその戦いぶりが描かれる。
<個々の強さで勝った大阪工大高も啓光学園の攻守に見せたまとまりに跳ね返された。(中略)その組織ディフェンスの精度は高校ラグビーの歴史を変えるものである>

 湯浅はこの時、高校2年。同大会にFLで出場するも3回戦で國學院久我山に7−19に敗れる。
「土井先生(崇司=当時監督)に言われて決勝を見に行きました。試合の後、近鉄電車に乗ったら、見知らぬおっちゃんたちが『決勝はすごい試合やったなあ。あと1つの大阪はどこが出とったかなあ』と話すのを聞いて、悔しい思いをしたことを覚えています」
 次年度の79回大会、東海大仰星は埼工大深谷(現 正智深谷)を31−7で破り、初優勝を飾る。湯浅は主将だった。

 綾部は当時、大阪体育大を出たてだった。仰星との戦いに思いがある。
「我々にとって超えないといけない壁です。全国大会の戦績を見てもらえればわかります。今まで選抜の決勝で2度戦いました。3度目が花園なのは因縁のようなものを感じます」
 14回大会(2013年)は33−14で勝利。16回大会は21−0で敗北する。

 この2017年度は対戦1度。5月21日の第72回大阪高校総体(府春季大会)だった。1位決定戦で33−29と仰星が逆転勝ちする。
「ラスト10分でハイタックルの認定を含め3トライを獲られました」
 大阪桐蔭コーチの山本健太は振り返る。

 約7か月後の大会ではお互い堅守が光る。
 東海大仰星は、大会3試合の平均得点68を誇った東福岡を21−14で退けた。
 大阪桐蔭は12−7で降した桐蔭学園戦を含め4試合の平均失点は12点だ。

 東海大仰星は東福岡戦で「ワンアウト」を使う。ラインディフェンスが上がりながら、相手がパスアウトした瞬間、マークを外側の人間にずらす。そこに、好機と見れば、外の選手が内に飛び込む「詰め」を併用した。
 グラウンドいっぱいにアタックラインを張る東福岡をタッチライン際に追い詰めながら、逆方向からのコンタクトも浴びせる。
 前半5分、左端のラインアウトから大外にボールをつないだモスグリーンを両CTB和田悠一郎、長田智希が包み込む。
 和田は後半26分、1人数的不利な場面で対面を抑えながら素早くカバー。WTB志氣陸王をインゴール寸前で倒している。
 試合後の湯浅は珍しく興奮気味だった。
「会心の試合でした」

 大阪桐蔭は基本的には前に立つ相手を見るマークで動く。しかし、時にCTBや大外のWTBが飛び出し、ボールキャリアーを内側に誘い込む。CTBを中心に守備陣が山形に動く「アンブレラ」(傘)と呼ばれるシステムの派生形だが、これが桐蔭学園戦でははまる。
 後半11分、自陣22メートル内で1人少ない状況で、大外にいたWTB宮宗翔が飛び出す。CTB竹下日向は外にパスしようとしたが、パスダミーで内に入り捕まる。
 山本は解説する。
「僕もSOだったのでわかるのですが、外の相手に飛び出されたら、余っていてもインターセプトが怖くてなかなか放れないんです」

 FW周辺は両チームともに強固だ。特に大阪桐蔭は桐蔭学園戦のラストで実に65次攻撃をしのぎ切っている。
 お互いが持つ複数の守備システムの使い方が勝敗に影響する可能性は高い。

 東海大仰星は準決勝翌日の6日、枚方市にある学校で2時間強の軽めの練習を行った。校内掃除とミーティングも含まれる。
 主将の長田は展望を話す。
「まずディフェンスから。体をしっかり当てていきたいです。その上で、得意の展開ラグビーを出していきたいと思っています」

 大阪桐蔭は、東大阪市にある近畿大のグラウンドでストレッチなど1時間程度、軽く体を動かした。綾部は「散歩ですね」と笑う。
 主将のFL上山黎哉は決勝を見据える。
「仰星の選手とは仲間として国体で優勝しました。普段、仲はいいけれど、試合になればそこは関係ありません。やりきります」

 東海大仰星から7、大阪桐蔭から8人が選ばれた大阪選抜は第72回国民体育大会(愛媛)の決勝で京都選抜を31−12で破った。
 これまでと今の大阪の誇りを秘め、第97回全国高校大会決勝は、1月8日、東大阪市花園ラグビー場で午後2時に始まる。
(文:鎮 勝也)

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白いジャージーが大阪桐蔭。神奈川の桐蔭学園を破り花園で初の決勝進出(撮影:松村真行)
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