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ラグビー経験を初等教育に生かす 関西学院大主将・HO赤壁尚志

関西学院大ラグビー部の先頭に立つ赤壁尚志(撮影:松村真行)


 就職先としては珍しい。
「小学校の先生になりたいんです」
 赤壁尚志は言った。
 ラグビー指導で注目される大学や高校、中学ではない。

 関西では同志社と並ぶトップ私大の関西学院、ラグビー部主将、さらにレギュラーHOの肩書さえも持っている。
 その気にさえなれば、一流企業やチームからの誘いも少なくなくあったはずだ。
「例えば、『1年目からいくらもらえる』とか『30歳で年収1000万円』という話に、まったく興味がない訳ではありません。でも嫌な仕事に耐えてそれだけもらうよりも、自分に向いていることがしたいのです。仕事は楽しい方がいいと思っています」

 関西学大では小学校の教員免許が取れる教育学部に籍を置く。
 今年9月、初等部から大学まで全グレードが集まり、混成チームによるタグラグビー大会があった。赤壁は会ったばかりの小学生2人と手をつないで歩いていた。
「昔から近所に子どもが多かったんです。小1から小6までがそろうような感じでした。よく一緒に遊びました。子どもはかわいらしいし、成長がよくわかる。しばらく会わなかったら背が伸びていたりする。そういうことが実感できるのが楽しいんです」

 赤壁には強い思いがある。
「小学生の時のことが、人生において大きな影響を与えると思うのです」
 5年の時、学級崩壊を経験する。
「女の先生でしたけど、反抗期を迎えた小学生をうまいこと指導できなくて…。授業にならなかったりしたことがありました」

 6年の時は真逆になる。
「担任が高浪先生という男の先生に変わりました。怖くはなかったけど、怒る時には怒る、ほめる時にはほめるとメリハリのきいた先生でした。勉強する時は全力、遊ぶ時も全力、という感じでした」

 赤壁は5年から大阪・八尾ラグビースクールで楕円球を追いかけていた。その楽しさを高浪先生との日記につづった。
「ラグビーの話を書いたら、『頑張って花園に行こう。応援しているから』と書き添えてくれました。今でも覚えています」
 大阪桐蔭では励まし通り全国大会に出る。高3時の第93回大会では同校初の4強入りに貢献した。
「先生にチケットを持って行きました。よろこんでくれました。うれしかったですね」

 もともと、赤壁にとって教職は身近だった。
 50代後半を迎えた父・英生は現在、東大阪にある長栄中の校長をつとめる。母・志乃生(しのぶ)は幼稚園で働いた。兄・剛志は松原にある松原三中で数学を教えている。
「父なんかは、今も教え子との付き合いが続いています。そんな姿を見ているといいなあ、と思ってしまいます」

 今年8月、大阪府の採用試験は最終まで進んだ。面接、筆記、実技(水泳)を3日間でこなすため、菅平合宿には遅れ、中抜けした。
 しかし、その甲斐なく不合格になった。
「付け焼刃が通る、そんな甘い世界ではありません。しっかり勉強しないとダメです」

 関西学大は「学生主体」を伝統とするため、他大学より主将にかかる比重は大きい。
 この2年のリーグ戦は6位(昨年)と最下位8位。低迷を打破するため、今年は3部練を課した。先頭に立たねばならない赤壁には十分な勉強時間が確保できなかった。
 卒業後は、講師として勤務し、勉強を続け、来年度の採用試験合格を目指す。

 卒業論文のテーマは『組織マネジメント』。
「キャプテンをさせてもらって、人数の多い集団をまとめていくことを勉強しました。先生になれば、クラスを大きな1つの組織としながら、小さい1人にも気遣いを持たないといけません。その上で、クラスとしての目標を達成していかないといけない。そこに経験が生きるのではないかと考えています」

 赤壁が率いるチームは11月4日、摂南大を50−12で下し、今季2勝目を挙げた。1勝ずつだったこの2年の勝ち星を上回った。
 U20日本代表にも選ばれた2学年下のLO杉原立樹(りき)は親しみを込める。
「赤壁さんは明るくて、誰とでも冗談を言って場を盛り上げてくれます。でも、やる時は『いこう』とばちっとスイッチが入ります。精神的支柱であって、頼りがいのあるリーダー。赤壁さんが抜けると、来年はどうなるのかなあ、と少し思ってしまいます」

 関西リーグは残り2試合。連勝すれば他力ながら、大学選手権出場も見えてくる。
 ラグビーでのやり残しをなくし、教育の道をまっしぐらに進みたい。
(文:鎮 勝也)
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