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関西レフリー界期待の若手 山本篤志

近鉄ライナーズと関西大のスクラムセッションの笛を吹く山本篤志レフリー


 レフリーのアセッサー(評価員)をつとめる太田始の評価は高い。
「ラグビーをようわかっとる。変なタックルには寄る。反則が出ないか確かめる。クリアなタックルは、近づかへん。すでに次のオフサイドを見とる」
 レフリーの最高グレード、A級を保持した67歳から賛辞を受けるのは山本篤志だ。
 31歳のB級レフリーである。

 勘どころを押さえた観察と動きは、笛によってゲームを安易に途切れさせない。結果、選手や観戦者はストレスを感じない。
 山本はこの4月、トップレフリー養成のためのエリート組織「アカデミー」の6期生男性5人の中に選ばれる。

 高評価の理由を自分なりに分析する。
「小さい頃からラグビーの試合を見るのが大好きなんです。海外のラグビーなんかで、トレンドを探ったりしています。今でも毎日1試合は朝昼晩のどこかで見ています」
 生まれ育ったのは、ラグビーのメッカ、東大阪市。幼稚園から楕円球に触れ、花園ラグビースクール、英田(あかだ)中、報徳学園、天理大と進む。

 選手として名をはせることはなかったが、強豪チームでの日々が、テレビ視聴と溶け合う。さらにFL、SH、SOといろいろなポジションでの経験が奥ゆきを広げる。

 7月30日、近鉄ライナーズと関西大のセッションに自転車で現れる。
「花園ラグビー場に着くまで、信号1つしかありません」
 日焼けの中の目を丸くさせて笑う。
 グラウンドではスクラム、ラインアウト、ホールドによる試合形式の練習を裁いた。

 三地域(関東、関西、九州)の所属になるB級レフリーは、近鉄の入るトップリーグを担当できない。その上部グレード、日本協会所属となるA2を経て、A1かAの2つに入らなければならない。

 それでも近鉄は山本に声をかける。監督・坪井章は英田中の8年上にあたる。先輩後輩の間柄を外しても位置づけは高い。
「彼は落ち着いて状況判断ができる。ゲームのマネジメントが上手です。毎年来てもらっているけど、確実にレベルアップしている。それに人間がいい。今日は日曜日。家族サービスもあるのに、『大丈夫です』って来てくれるんです。ありがたいですね」
 山本には妻と生後間もない娘がいる。

 家族に負担をかけながら、グラウンドに向かう。そこにあるのは「大好きなラグビーに携わりたい」という強い思いだ。

 レフリーを志したのは、元A級の原田隆司の存在が大きい。
 山本がB級に昇格したのは2012年だが、C級時代に声をかけられた。
「やる気があるんやったら、頑張れへんか」
 その言葉に天にも昇る気持ちになる。
「めちゃめちゃうれしかったです。自分はプレーヤーとして鳴かず飛ばずでした。でも、原田さんはそんな自分を認めてくれた」
 原田は2015年度で現役引退。現在はアジア協会レフリー委員長をつとめる。

 尊敬するのは指導を仰いだ原田。そして、現役では4学年上のA級・久保修平だ。
「2人ともピーピー笛を吹かない。お互いにラグビーをやらせる。だから、レフリーがいるか、いないか、見ている人にはわからない。自分はそうあるべきだと思っています」
 根底にあるのは「プレーヤー・ファースト」。教条的に笛を吹かず、反則が故意か故意でなかったかを判断し、流せるところは流す。

 その思いを強くしたのは、今年5月、ニュージーランド(NZ)での研修だった。
 スーパーラグビー・クルセイダーズの本拠地、クライストチャーチでアシスタントも含めて10日ほどの間に5試合をこなした。
「NZでは『レフリーは簡単に試合を止めるな』という雰囲気を感じました」

 山本は、海外での経験も取り込みながら、原則として月1回2日間、東京でおこなわれるアカデミーに参加する。ルール理解、メンタルトレ、英会話や実技などを学ぶ。
 レフリーに必須の走り込みも毎日続けている。東大阪にある石切中の保健体育教員、そしてラグビー部顧問という肩書も体力の維持、そして増進を助ける。

 山本は言う。
「レフリーはお互いのチームがベストを尽くしてもらうための存在だと思います。でも、その中で、やっていいこと、悪いことはある。そこはしっかり整理しないといけません」

 目標を口にする。
「トップリーグを吹くことです」
 太田は山本の変化を見て取る。
「去年は、ぼちゃぼちゃした体つきやった。そっから減量をした。10キロくらいは痩せたんとちゃうかな」
 はた目にもレフリーにまい進する覚悟が映っている。
(文:鎮 勝也)
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